第12話

「あと、今ここにはいないけれども、タテガミオオカミと、ホッキョクオオカミの2人がメンバーよ。またいつか、機会があれば紹介するわね」


「じゃあ、オオカミ連盟の一員になるために、遠吠えの練習をするわよ!私たちは、遠くに居ても連絡が取れるように、特定の鳴き方の遠吠えで言いたいことを簡単に伝えられるようにしているの。多分、知っておいて損はないわ」

「んじゃ、とりあえずあたしがお手本見せるねー」


ニホンオオカミは息を大きく吸って。


「ワオォォォォンンン…っとまあこんな感じかな。これで、『助けて』って意味になるから。それじゃ、やってみて?」

「えーっと、こうかな?ワオォォォンンンン!」

「おおっ、初めてにしては上手だね。でも、いくつか直すところがあるよ。まず、途中の伸ばしが少し足りない。あと、最後の響きがちょっと強すぎるから、あんまり強くし過ぎないでね。それじゃ、もっかいやってみよー!」

「ワオォォォォンンン!」

「すごいすごい!完璧!この調子で次も頑張ろう!」


ヒトからしたら全くもって違いがわからないが、本人たちにとっては違うんだろうな…

会話が全くついて行けない次元に突入してしまったので、しばらくソラたちの様子を眺める。わいわいと喋っていて楽しそうで微笑ましい。


「ソラちゃんを飼ってた頃って、あなたはどういう風に暮らしていたの?」


いつのまにかタイリクオオカミさんが隣に座っていた。


「そうだなぁ…毎日散歩には連れていったし、仕事の時も時々カメラで様子は見てたよ。ご飯も適度な量をあげてたし、帰ったら一緒に遊んであげたし。家族の一員だと思って愛情持って接してたと思ってる。ただ、ソラがどう思ってたのかはまだ聞いてないから分からないけど」

「…そう、ソラちゃんがひどい扱いとか受けてるようじゃなくて良かったわ。ヒトの中には飼っている生き物に対して世話をしなかったり、暴力を振るったりするヒトがいるって聞いたことがあるから心配してたのよ」

「そういうヒトもいることについては否定しない。けれど、私はそんな事はしていない。これははっきり言える」

「安心したわ。あなたが嘘をついているように思えないしね」


ソラは、動物だった頃をどう思っているのだろう?一度聞いて見なければ…


「またなんかあったらぜひ来てねー!」

「待ってるわよ」

「うん、ニホンオオカミちゃんもタイリクさんもありがとー!またねー!」


オオカミ連盟の皆さんに見送られ、私たちは帰路につく。もう日が傾きかけている。


「…なあソラ、動物だった頃、私に飼われててどうだった?なんか覚えてる?」


ソラは少し考えたあと、


「すっごく楽しかった‼︎ご主人さまが出かけてる時は少し寂しかったけど、毎日おそとに連れてってくれたし、帰ってきたら遊んでくれたし、面白かったよ!これからもご主人さまとずっと一緒に居られるよね!よろしく、ご主人さま!」


嬉しい、嬉しいぞ、その気持ち…!


そんなことを思いながら、私とソラはホテルまで戻った。

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