第11話
視線を感じる…
振り向くたびに物陰に隠れる影が見えるから、多分誰かに後をつけられてるっぽい…
タイミングを見計らい、私はその影に近づいた。
「あれ?見つかっちゃった?」
見つかったも何も、かなり前から気づいてましたよ…
そこにいたのは、茶色のセーラー服にボサボサ頭、巻き尾が特徴的なアニマルガールだった。生気はあるものの、なぜか死んだような目をしている。
「バレちゃったら仕方ないねー。あたしはニホンオオカミ。よろしく!」
ニホンオオカミ…ってもしかして絶滅種⁉︎
絶滅種か…すげーなジャパリパーク。
で、何で私らを尾行してたんです?
「あたし、気になるものがあると、つい見ちゃうんだよねー。あなたはパーク職員にも見えないし、一般のお客さんにアニマルガールがずっとついて行ってるなんて珍しいからね!て訳で、気にしてたらごめんね?」
「あ、そうだ。あなた、イヌでしょ?良かったら、あたしらの仲間にならない?」
ニホンオオカミは、ソラに向かってそう問いかけた。
「仲間?」
「そう。ジャパリパークにいるオオカミとか、ジャッカルとか、そういう犬の仲間を集めて、グループを作ってて、良かったらその仲間に入んないかなーって!」
「うん、面白そう!あなたからは私と同じような匂いがするし、ちょっと気になるかも!」
「あ、そう?んじゃ私たちの拠点まで案内するね!付いてきて!」
早速行くのね…
連れてこられたのは、森の中の広場のようなところだった。
「イェーイ!新入り(仮)を連れてきたよー!」
ニホンオオカミがそう言うと、広場に建っていた木造の建物から、アニマルガールが何人か出てきた。
「あなたが新入り?ようこそ、『オオカミ連盟』へ!」
「えっと、彼女はイエイヌのフレンズで、元々あの人に飼われてて、ジャパリパークにきてフレンズ化したんだって。で、名前はソラっていうらしいよ」
説明ありがとうございます、ニホンオオカミさん。
「あら、そうだったのね。じゃあ、とりあえず自己紹介でもしましょうか。私はタイリクオオカミ。一応、このオオカミ連盟のリーダーを務めているわ。困ったことがあったらいつでも頼ってね」
「あ、じゃあ次あたしかな?えーっと、さっきも名乗ったけど、あたしがニホンオオカミね」
「イタリアオオカミです!タイリクオオカミお姉さまは絶対に渡しませんからね‼︎」
「ちょっと、抜けがけはズルいよ!タイリクオオカミはオオカミ連盟みんなのものだろ?そしてそれをお守りするのが私たちタイリクシスターズだ!」
「シンリンオオカミの言う通りネ!」
「何を言われようと絶対に渡しませんからね!」
ケンカになってしまった…
「ケンカしてるけど気にするな。いつもの事だからな。私はツンドラオオカミ。あっちでケンカしてるのが、イタリアオオカミ、シンリンオオカミ、インドオオカミ、チュウゴクオオカミ。後の3人と私でタイリクオオカミのボディーガード的なことをしている。よろしくな」
「シッ、静かに…『組織』の気配は無いな…俺はエゾオオカミ。とある『組織』と戦っている。奴らにパークを好き勝手させるものか…!」
「エゾオオカミさん…!あ、僕はメキシコオオカミ。エゾオオカミさんに憧れてるんだ!」
「私はドール。『組織』とかってのは全部エゾオオカミの妄想ネ。気にしなくていいヨ」
「え?ドール、そうなの?」
「あっ、ちょっ、ドール、なんてこと言うんだ!『組織』は本当にあるんだ!」
みんなキャラが立っているな…
「キンイロジャッカルのキンコと」
「アフリカンゴールデンウルフのアルルです」
傍目からは違いが分からないほどそっくりな2人組が自己紹介した。
「何か困ったことがあれば…キンコを…頼ってくだ…さい…力に…なります…」
「これから一緒にパークの生活を楽しみましょう、ソラさん!よろしくお願いします!」
「ディンゴでございます。メイドをしておりまして、今はタイリクオオカミさまにお仕えしております。以後、お見知り置きを」
「あ、あの、ア、アードウルフ…です。よ、よろしくお願いします…」
「ブチハイエナよ。まあ、いろいろみんなの面倒を見たりとかしているわ。よろしくね」
「ハロー!アイム コヨーテ。ナイストゥミーチュウ!えっ、チャラい?ノーノー、チャラく見えてもファミリーを守る心は人一倍さ!」
「セグロジャッカルです。あなたは、あたしの本当の姿を見てくれる人?偏見とかを持たずにあたしを見てくれる人?それはこれから見極めさせてもらいます」
「リカオンです…あなたが彼女のマスターですか。そうですか。ではソラさん、リカオン流の心構えを教えておきましょう。マスターのオーダーには、出来るだけ速やかに確実に応える。これに尽きます」
リカオンの自己紹介を最後にして、賑やかな自己紹介タイムが終わった。
と思いきや、まだ木の家から出てくる姿があった。
「なんだ騒騒しい。新入り?お前がか?ハッハッハッハッハ!ヒトに養われ、最近の狼は弱っちくなったものだ。どうだ、私と勝負してみるか?この、史上最大のオオカミ、ダイアウルフとな」
ボサボサした髪をリボンで留めている、背の高いアニマルガールは、ソラを一瞥してそれだけ言うとすぐにまた家の中に引っ込んでしまった。
「あー…ごめんなさい、ダイアウルフさんには悪気はないの。ただ最近のオオカミを憂いているだけで…」
タイリクオオカミが少々困った様子で謝った。
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