第5話 もしくはGot lost!

ガイドブックが欲しい。


私は次に何を見るかを考えようとしてそのことに気がついた。

見るのに数日かかるとはいえ、所詮は動物園。ガイドくらい無くても何とかなる。そう思って出発前にガイドを買うのをやめたのだった。

甘かった。ここは広すぎる。施設も多すぎる。某 夢のネズミがいる遊園地とは訳が違う。ガイドがなければ、どっからみたらいいのかわからない。もちろん、マイナーなとこを巡るのもありかもしれないが、今回の目的はそうじゃない。

よし、ガイドブックを買おう。そう決断するのに2秒もかからなかった。


パンフレットの簡易的な地図を頼りに、本屋を探す。

にしても多数のアニマルガールと職員が住んでいるだけあって、施設設備が動物園の域を超えている。スーパー、コンビニ、病院、警察署etc…

肝心の本屋は…あった。今いる場所から2ブロックほど行ったところだ。


「ソラ、行くよ」


私はそう声をかけた…が返事がない。あたりを見回すが、ソラの姿はない。

ソラがいない⁉︎

一瞬、頭の中が真っ白になった。そしてすぐにいろんな考えが頭に押し寄せた。


どうしようどうしようさっきまでそこにいたよなえまたどっか走ってったとか万が一もしかしたら誘拐とかもしそうだったらかなりヤバいよねどうしようマジで


2分ほどして、とりあえず事態を飲み込むことができた。

ソラがどこかへ消えてしまった。私が地図を見始めた時にはまだいたはず。だからその間の3分ほどでソラはどこかに行った。

マジでどうしよう…


「ヘイ!お困りの様ね、ミスター!」


いきなり声をかけられた。そこには茶色い軍服?を着た、白髪の少女が立っていた。頭に生えた翼から、彼女がアニマルガールであることがうかがえる。


「あなたは…」

「狙った悪は逃がさない!私は正義の使者!キャプテン・ハクトウワシ!レッツ・ジャスティス!」


あっ…この子痛い子だ…

私は踵を返してその場を去ろうとした。が。


「あ、ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」


空を飛んで回り込まれてしまった。


「コホン、自己紹介はちょっとテンション高すぎたわね。あなた、見るところ何かを探してるみたいだけど…よかったら、私が探すのをヘルプしてあげるわ」


本当か。なら是非とも頼みたいが…大丈夫かこの子?


「疑ってるわね?障害物の多い地上より、空から探した方が見つけやすい。そして、猛禽類である私の視力はヒトの約8倍よ!私ならきっとあなたの探しているものも見つけられるわ!」


…ずいぶんと押しが強すぎるな…まあいい、そこまで言うのなら頼んでみようか。


「そうですか、では手伝ってください!」

「All right.じゃあ探している物の特徴を教えて?」

「イエイヌのアニマルガール…で、名前はソラ。全体的にベージュ色の髪と服、肩から胴体にかけて、黒色のハーネスがついてたかな。ほんの10分ほど前にどこかに行ってしまって…これだけで探せる?」

「イエイヌのフレンズ…知らない子ね…写真とかはあるかしら?」


今まで慌ただしくしてて撮る暇なんてなかったんですよ…


「無かったら無いでいいわ。OK、探してくるわよ!」


そう言ってハクトウワシは凄まじいスピードで飛び立って行った。

頼りきりになるわけにはいかない。私も探さなきゃ。

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