第4話 もしくはお菓子屋

「あっちからいい匂いがする!」


外に出るなりそう言ったソラ。

この姿でも鼻は効くんだ…などと考えているうちに、ソラは勢いよく走り出してしまった。

急いで追いかけないと!


速い!めっちゃ速い!走力もイヌのまんまなのか…


「はぁ…はぁ…待って…ソラ…」


ゼィゼィ息を切らせつつも、なんとかソラに追いついた…全力疾走なんていつぶりだ…?


ソラは建物の前に立っている。


「ご主人さま!入ってみよ!」


ソラは私の手を引いて建物に入っていく。


建物に入ると、カラフルな飾りやパッケージが目を惹く。どうやらお菓子屋のようだ。


「ここ何ー?」


ソラが私に聞いてくる。


「ここはお菓子を売るお店だね」

「お店って?」


そうか、そこから説明するのか…


「えーっと…お店っていうのは…お金を払って物を買う場所のこと…かな」


聞かれても意外とはっきり答えられないもんだな…


「とりあえず、欲しい物があったら私のところに持ってきてごらん」

「うん、わかった!」


しばしお菓子屋を物色する。特に変わったものはない。ほとんど内地と同じ品揃えだ。

ぼーっと店内を見て歩く。すると、見慣れたお菓子の中に見慣れないものが混じっていることに気がついた。

ジャパリチップス。オレンジ色の袋には黄色い字でそう書いてあった。魚の絵が描いてあるから、どうやらシーフード味らしい。


「やっと見つけましたー‼︎」


不意に後ろから声が聞こえてきた。見ると1人のアニマルガールが立っていた。白い服に黒いジャケット。頭には羽根が生えている。


「やっと見つけましたよー、パフィンちゃんの大好物、ジャパリチップス!箱で買っときましょう!」


その子はそう言って棚の横にあった段ボールを抱えて嬉しそうに去っていった。

え、そのポテチ箱買いすんの…?どんだけ好きなんだ…


「あ、いたいた!ご主人さま!」


ソラがお菓子とおぼしき物を手にしてこっちに走ってくる。


「えっとね、これ!」


差し出されたそれには「ジャパリチョコ」と書いてあった。

チョコか……なんでピンポイントで犬がダメなやつを持ってくるのかな…


「…これはどこにあったの?」

「こっちだよ!」


私は店の一角に連れてこられた。


「ここ!」


棚に並べられた板チョコ。「フクロギツネパティシエ監修!」のPOPが目立つ。


「えーっとね、これはチョコっていうんだけど、犬の身体にはあまり良くないっていうか、かなり良くないから、これはやめて別のにしない?ほら、これとかどう?」


そう言って私は手近な冷蔵庫にあった、まんじゅうのようなものを手に取る。


「あ、それもおいしそー!そっちにしよー」


商品名の欄には、ジャパリまんじゅうと書かれていた。

どうやらパークの名物らしく、味のバリエーションがたくさんあった。オーソドックスなあんこ、チョコ、ストロベリー、カレー、ブルーハワイ、ローズ、高麗人参…うまいのかそれ?


結局、私とソラで1つずつジャパリまんじゅうを買い、店の外に出た。さて、次はどうしようか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る