第18話 セルリアンハンター

火山岩からは、ある程度予想してはいたが、サンドスター・ロウの痕跡が検出された。

「つまり、これはセルリアンの残骸ってことか」

「手持ちの機材で分かる範囲では、ですけど。これ以上はラボに持ち帰らないと」

スナドリネコは試料を何点か採取する。

「オオミミギツネさん、ダメですよ」

ナマケグマは、オオミミギツネが火山岩のカケラをポケットに入れたのを見逃さなかった。オオミミギツネは舌打ちしてカケラを捨てた。

写真を撮ることも許されていないから、ジャーナリストとしてはせめて何か持ち帰りたいのだろう。

「これが本当にセルリアンの残骸なら、調べれば弱点が分かるんだろ?ならもう解決じゃねえか」

「だったらいいんですけどね」

スナドリネコ=ミコトは楽観視できなかった。

「そこで何をしている!」

呼び止められ、三人は振り返って構えた。

「あ、私たちは」

「怪しいやつ!博士から話は聞いてるぞ。なんか変な臭いのフレンズがいるって、お前たちのことだろう!」

大柄な黒い影。クマのフレンズか。

「わたしはヒグマ。セルリアンハンターだ」

一行は驚きを隠せなかった。セルリアンのハンターがいるなんて。

「ハンター?セルリアンを狩るんですか?」

「もちろん!最近は少ないが、ここでは前に皆で力を合わせて、大型セルリアンもやっつけたことがあるぞ」

ヒグマは火山岩を指差して自慢気に言った。

「中型ならわたし一人でも倒せるが、あの大型はサイキョーすぎた。しかし、皆の力を合わせて、ついにはやっつけたんだ」

なにかを思い出しているのだろうか、ヒグマは涙まで浮かべている。

「いったい、どうやって倒したんですか?」

「よくぞ聞いてくれた。あの大型セルリアンは、サンドスター火山から飛んでくるサンドスター・ロウを吸収して、どんどん巨大化してな…」

「サンドスター・ロウですって?」

スナドリネコはヒグマに掴みかからんくらいの勢いだ。

「ああ、博士たちがそう言っていた。今はかばんのおかげでサンドスター・ロウは出なくなっているから、セルリアンもずいぶん減ったのさ」

博士、とはこの前のフクロウのフレンズだろうか。そしてかばん、またその名前だ。かばんなんていう動物なんていただろうか。

「その、かばん、というのは」

「ああ。我らのえいゆー、だよ」

ヒグマの話は、夜まで続いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る