第2話 性犯罪者予備軍
桜が咲く公園から数百メートル歩き、
後ろを振り返るとホームレスが未だに追いかけてきている。
早足で歩くと、ホームレスも同じスピードで追いかけてくる。
一応自分は誰よりも足が速いことが取り柄として生きてきたので
サンダルを履いた老人には負けることは無いと確信しながら走った
走って駅に着き、改札を抜け、自宅近くまで行く電車に息を切らしながら乗り込む、ドアが締まったことにより、逃げ切ったことを確信した。
席は祝日でお花見の季節だからかどこも満席、仕方なくつり革につかまることにした。目の前には女子大学生だろうか、胸が大きく、ショートヘアの美女が座っている。少し露出度が高い服を着ており、いつもの日に比べて暑いせいか、首の鎖骨あたりから谷間に向かい汗が流れ込む。これには僕の息子も反応せざるおえなかった。だが、心配はご無用、自分の息子は誰よりも"小さい"自信があった。よって、おっきくなったとしてもそれほど目立つ代物ではなかった。昔からの一番の悩みである。
かばんからスマートフォンを取り出しSNSを開く
「さっきホームレスに追われた、ほんと怖かった。けど、今目の前にエロい女子大生がいるからプラマイゼロってことで…笑」
フォロワーはそれほど多くないのに何故か呟いてしまう、なぜこんなにも呟いてしまうのかも自分でもよくわからない。
ふと、目の前を覗いてみると、人を見下すかのように自分の顔を見つめてくる。身に覚えがないのになぜこういつも嫌な顔されなければいけないのか、嫌な顔をされるのには慣れてはいるが、見知らぬ女性にされるのはとても不可解に思った。そして、それは何故なのかすぐに分かった。目線をもう少し下に下げるといつもの視界にはないでかい物(ぶつ)がそこにはあった、息子である。
いつもの息子ではないことは瞬時に分かったが、その理由はわからなかった。カバンで立派になった息子を押さえつけようとするが、息子は鉄のように硬くカバンで押さえつけようとしても跳ね返ってしまう。これはやばいと、目の前の女子大学生に平謝りし、降りるはずが無かったターミナル駅に降り、前屈みになりながらトイレに直行した。
ビックソン @highline
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