ラスボスイン勇者一行

みずねびと

終焉

『レベルオーバーフローッ!!!』


光閃をはためかせる勇者が天地を分かつ聖剣を振り落とす。

魔王を討ち果たし、世界に平和が訪れる。

果たして、それは本当に平和と呼べるものなのか。

私は思う。ただ魔王を倒すだけとは、全くもって面白味のない物語になったものだと。花のないありきたりの三文芝居、大富豪の令嬢の未来が跡継ぎ一本道であるように、決められた筋書きをなぞるだけの面白味のないハッピーエンド。

勇者一行に紛れて最後の時まで連れ添ったが、これでは悦楽も狂気も天も地獄も何も無いではないか。残るものは危うく観客の期待も失墜というところだろう。紳士淑女の皆様に、顔向けができないな。

「書き直しだ」

では、時間を巻き戻そうか。

それでは皆様、神の叡智より生まれし至高の一品をご堪能あれ。哀れにも世界に否定され続け、それでも世界を救いあげた彼が、次はどんなに数奇な運命を辿るのかーーー今、勇者の幕を上げてみましょう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラスボスイン勇者一行 みずねびと @Mizunebito

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ