第27話 memory①

『ん……ここは』


目を覚ますと、どこかの森の中だった


『さっきまで室内に居たはず…いつの間に』


とりあえず情報を得るために歩きだす

少し歩くと川があった


(川があるならの1つでもあるかも)


ルビカーフィンは川の流れに沿って少し速足になる


「母さん、大丈夫??」


どこからか、少年の声が聞こえた

視線をそちらへ向けると


『!?コウ…??』


そこには髪色は違うものの、どこかコウに似た少年が母親と共に歩いていた


「心配性なんだから。このくらい大丈夫よ」


「でも母さんに何かあったら妹にも何かあるかもしれない…やっぱり俺も持つよ!!」


買い物帰りだろうか

荷物をたくさん持っている

母親はお腹に子供がいるようだ


「分かったわ…なら半分持ってくれる??」


「任せろって!!」


何故だか2人から目が離せなくなったルビカーフィンは後を付いて行くことにした



少し歩くと家が見えてきた


「あら、もう帰ってきていたの??」


「あぁ…良かった!!2人とも無事に帰ってきて!!」


男性が声をかける


「俺がいるから大丈夫だって言っただろ」


「まだまだ子供だ」


「子供扱いするな!!俺は兄ちゃんになるんだぞ!!」


少年が色々と言っていると


「ほらほら、こんな所で立っていないで中に入りましょう」


そう言い3人は中へ入る

どうやら先ほどの男性は父親のようだ


『家族…か』


特に意味もなく発した言葉

でも、なぜだかとても羨ましく思えた

それをどこか不服に思い、立ち上がろうとすると


「父さん!!大変だ!!母さんが!!!!」


『!?』


少年が大きな声をあげる

何事かと思い窓から中を見ると

母親がお腹をかかえて踞っている


「早くおばさんを呼んできてくれ!!」


「分かった!!」


少年は急いで出て行く


『待って!!もう夕方なのに1人じゃ危ない!!』


思わず発してしまった

だが、急いでいる少年には聞こえなかったのか

そのまま行ってしまった

ルビカーフィンは心配になり、追いかけることにした


木と木の間を走り抜ける

なぜだかこの方が早いような気がしたから

すると目の前から少年が女性を連れて走ってきた


(!?ぶつかる!?)


そう思ったが

少年はルビカーフィンを


『!?なに…なにが起こったの…??』


今起きた事が理解できず立ち尽くす


「おばさん!!早く!!」


『!?』


少年の言葉で我に返る

試しに近くに咲いていた花に触れようとした

だが


(やっぱり…私はここに存在していないことになっているの??)


この世界には存在していてもこの空間には居ない事になっているようだ




しばらく考え込んでいたが、先ほどの家族の事が気になり戻ることにした

家から少し離れた所まで来ると


「おんぎゃー!!」


と赤ちゃんの泣き声が聞こえた

無事に産まれたようだ


『赤ちゃんの…声』


今まで子供は見たことがあったが、赤ちゃんは見たことが無かったため

興味本位で家へ行く

元気一杯な大きな声で泣く赤ちゃんを見る


『これが…赤ちゃん。人間が産まれた…瞬間』


ズキッ


『!?』


その赤ちゃんを見た途端、激しい頭痛が起き

立っていられなくなってしまい

その場に座り込んでしまう


『なに…なん……なの』


また意識を飛ばしてしまうのだった。


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