第23話 圧倒的強さ

イキの大きな声で周りの人々も何事かと辺りを伺う

ルビカーフィンもイキのあんな声を聞いた事がなくて驚いた


『ちょ、ちょっとイ……』


立ち上がろうとした瞬間

男性に腕を掴まれ首元に何かを押し当てられる


『!?』


注射器だ

全身の力が抜けていく


「ルビー!!!!」


最後に聞いたのはイキから初めて呼ばれた呼び方だった


「くそ野郎が!!!!そいつを放しやがれ!!!!」


男性はルビカーフィンを抱え、こちらへ歩いてくる


「君…なんで僕のこと気付いたの??」


メガネを外し、先ほどのイケメンさが感じられないダルそうな話し方になっていた

多分、こちらが素だろう


「てめぇの顔は忘れるはずがねぇ!!!!

いきを連れてった奴だからな!!!!」


イキの言葉から強い怒りを感じる


「いき?誰それ」


「俺の妹だ!!」


「そうなんだ、それは悪いことをしたなぁ」


なんて笑っている


「はっ??」


「いや、悪いことをしたから謝ろうと思って」


男性の思考が全く読めない

誰かに雇われているのか

なぜルビカーフィンを狙ったのか

そんな事を考えていると


「敵を前にして考え事はよくないよ」


「!?」


気付いたら目の前にいた

"敵"と言ったため急いで距離を取ろうとする


グシャッ


「!?」


イキの腹部に男性の手がいた


「ゲボッ」


男性が手を引き抜くと、イキはその場に倒れる


「手が汚れた」


男性はペッペッと手を振っている


(なんだ、なにがおきた)


あっという間の出来事に頭が追い付いてこない

辺りは悲鳴と混乱で人々がバタバタとしている


「うるさいなぁ…僕は煩いのは嫌いなんだ」


そう言うと人々の頭や身体が


「なっ!?」


死体が次々と出来上がる


(どうゆう仕組みだよ…あいつ動いてねぇぞ)


ますます男性の事が分からなくなる

その時、1人の少年が男性に駆け寄る


「お……い」


止めようとするもうまく声が出ない


「あぁ…坊やか」


「少しは時間稼げたよね!?僕を解放してくれる約束守ってくれる!?」


少年は男性に訴える


「そんな約束してたっけなぁ」


と頭をかく

そして


「だとしても残念、失敗だよ」


そう言って少年に触れようとする


「や……めろ」


「サヨナラだ」


「え…??」


「やめ…ろー!!!!」


やっと動いた手

でも少年には届かない


「バイバイ」


ニッコリと笑う男性

少年に触れそうな所で


グサッグサッ


男性の腕にクナイが刺さる


「!?あれ……は」


「イキ!!!!大丈夫か!?」


「ユウ」


ユウが走って来てくれた


「!?お前…しっかりしろよ!!意識飛ばすな!!」


ユウが状態を確認する



男性が意識をクナイへと向けている間に少年を抱え走るコウ


「君はここから動かないで下さい」


「う、うん」


すぐ先ほどの場所へ戻る

途中クナイが飛んでくる

それを避ける


「ルイを解放して下さい」


男性に言う


「それは無理だなぁ…あれ、君どっかで見たような」


男性が考え始める

その間にコウは攻撃をしかける

男性はそれを軽々と避け


「あぁ…厄災村の人か」


と言う


「!?」


一瞬、動揺する

男性はその一瞬を見逃さず、蹴りを入れる


「がはっ!?」


反応が遅れたコウの腹部にもろ蹴りが入る

壁を2、3枚突き破りレンガ壁に叩きつけられる


「あれ…でも違うか」


1人で解決し、道を引き返す


「悪いけどその子は置いていってもらうわよ!!!!」


リウが鞭を放つも


「虫がウジャウジャと煩い」


ブチッ


「!?あぁあああぁあぁ!!!!」


容赦なくリウの鞭を

次々と溢れ出す血、襲ってくる激痛

リウは言葉にならない悲鳴をあげる

その声が気に入らなかったのか


ドンドン


とリウの頭を踏みつける男性


「だから僕は煩いのは嫌いなんだってばぁ」


リウの頭や顔から血が流れる


「煩い、煩い、煩い、煩い」


男性が何回も何十回も踏み続けると

リウは声を発することも、痛みで悶えることもしなくなった


「ふぅ…やっと静かになった」

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