第22話 謎の男性

声をかけてきたのはメガネをかけた男性だった


「どこも席が空いていなくてね。お隣いいかな??」


再度言われる

周りを見てみると、自分達が来た時よりも混み合っている


『ど、どうぞ』


立たせておくわけにもいかず、承諾する


「すまないね」


隣に座る

20代後半くらいだろうか

整った顔立ち…所謂、イケメンってやつだ


「誰かと一緒だったかな??」


男性が申し訳なさそうに聞いてくる


『あ、い、いえ!!大丈夫ですよ!!』


まじまじと男性の顔を見てしまっていた事に気付きタジタジな答えになってしまった


「ふふ…そんなに見られると恥ずかしいな」


男性はそんなルビカーフィンに笑う


『す、すみません』


今のルビカーフィンは2つの意味で顔が赤い

1つは自分の恥ずかしさ

もう1つは男性のイケメンさ


ユウもコウもずっと一緒に居るため

"男性"としてしっかりと意識したことはない

それに森の中で暮らしていたため、こうして異性と話をしたりする機会など無かった


「でも、なんだか申し訳ないな。すみません、彼女にも僕と同じものを」


「かしこまりました」


スムーズな流れでルビカーフィンにお茶をご馳走するのだった





「っで、お前何が目的だ」


少し路地裏に入った所でイキが言う


「な、なにって…??」


少年は聞く


「とぼけるな!!!!あの紙からは血と消毒の臭いがした」


「!?」


「わざわざ俺らに道を聞いてきて、何が目的だ??」


鋭く睨む

少年は怯え無言になる


「言わねぇか…ま、いいが。何かをするにしたら相手を間違えたな。次からはもっとマシな奴を狙え」


それだけ言い立ち去ろうとする


「ダメ!!!!」


少年はイキの腕を掴み抵抗する


「なんだよ!?」


振りほどこうとするイキ


「今戻ったら僕自由になれない!!!!

失敗したらまた怒られちゃう!!!!」


泣きながら必死にイキを止める


「自由?失敗?なんだそれ」


「僕は奴隷なんだ!!!!」


少年は叫ぶ


「!?なん…だと」


「だから失敗したら捨てられちゃう!!

そんなのイヤだよ!!!!」


少年は無我夢中でイキを止める


「失敗??なら俺はただの足止め…

!?まさか!?」


イキは1つの物事に気付いた


「お姉ちゃんとお兄ちゃんを離れ離れにしないとダメだって言われたんだ!!

だからお兄ちゃんはここにいてくれなきゃダメ!!!!」


「やっぱりか!!狙いは初めからあいつだったんだな!!」


少年を振り払いルビカーフィンの元へと走るイキ


(頼む、間に合ってくれ!!)


自分でも驚くほどの速さで来た道を走る

カフェの正面へと出ると

そこには男性と話をしているルビカーフィンがいた

その男性の顔を見るなりイキの表情が険しくなる


「ルビカーフィン!!そいつから離れろ!!!!」


自分でも驚くほど、大きな声が出た







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る