第20話 1日目

「本日はこの辺りで休みましょう」


すでに辺りはうす暗い


「この時間からはあまり動かない方がいいしねぇ〜」


ルビカーフィンは魔導車を停める


「あー…野宿かぁ」


ガックリするユウ


「仕方ありません、思ったよりも道が険しく街も見当たらない。順番に見張りをしましょう、ルイは力を使ったのでしっかりと身体を休めて下さい」


主を気遣う


『うん、ありがとう』


「どぉ??久々に半日は波動使いっぱなしだったけど」


『さすがにちょっと疲れたかな』


顔からはやや疲労感がみえる


「明日も早朝に行動する予定です。各自そのつもりで」


「はいはーい!!ささっ!!ルビーちゃん、お姉さんが一緒に寝てあげる!!」


そう言ってやや強引に簡易ベッドの中へ


「私はこんな所でも眠れるけど…ルビーちゃんは大丈夫??」


『うん、平気だよ』


「なら良かったわぁ」


頭を優しく撫で始めるリウ


「久々ねぇ〜こうしてルビーちゃんと一緒に寝るの」


『リウが放浪しなければいいんだよ』


尤もなことを言われる


「そうねぇ…でもあたしはしたいことをするから!!」


『うん…リウは…それで…い……い』


思ったよりも疲れていたのか

リウが優しく撫でるからか

ルビカーフィンはすぐに眠ってしまった


「今はゆっくりお休み」


まるで妹を寝かしつける姉のようだった




「もう少ししたらリウも来ると思います。

魔導車を中心に見張りをします」


地面に事細かく物事を書いていくコウ


その時

無数の唸り声が聞こえる


「さっそくお出ましのようねぇ」


ゆるーい声が聞こえる


「ルイは??」


「疲れてたみたい。すぐに眠っちゃったわ」


「なら安眠を妨害させないようにしないとな!!」


なんて笑いながらユウが言う


「数がどれ程か分かりませんが、半日波動を使って眠っているルイは無防備に近い。近付けさせないように」


「えぇ」


「分かってる」


リウは声がした方へと走っていく

ユウは拳銃を装備し、コウもクナイを持つ


「イキ、戦闘経験は??」


「多少なら」


と小型ナイフを持っていた


「ではルイを頼みます」


「あぁ。分かった」


その声と同時に3人は自分のすべき場所へと向かった。


イキはルビカーフィンの元へといく

そこには夢を見ているのか微笑みながら眠っているルビカーフィンがいた


(確かにこれじゃあ無防備だ)


なんて思っているが

何故だかホッとしている自分がいる

ルビカーフィンが寝返りをしたため、ズレた毛布をかけ直す

近くに座り込み見張りをするイキであった。




森の中

自分の片腕を鞭に変え、アルケミストの成れの果てを

バッサバッサとなぎ倒していくリウ


「もーぅ…しつこいわねぇ」


いつもの調子でいると


ズキッ


「!?」


急に腕に激痛が走る


「ってて…ちょっと無理し過ぎたかしら」


鞭と腕の境目が真っ黒になっており、血が流れていた


(あまり酷使したら暫く使い物にならなくなっちゃうかも)


なんて考えながらもルビカーフィンのために腕を振るうのだった。





翌朝


「ルイ、起きて下さい」


コウの優しい声がする


『…もう…朝…??』


ルビカーフィンはまだ回っていない頭と身体を動かそうとする


「すみません…もう少しゆっくりしていたいのですが、そろそろ出発した方が良いかと」


申し訳なさそうにするコウ


『大丈夫だよ!!よし、じゃあ動かすね』


そう言い動力源に手をかざす

魔導車はゆっくりと目的地まで進むのだった。

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