第18話 夢

「ごめん」


夢の中で誰かが言う


『ん……』


「でもこれが僕達の未来に繋がることなんだ」


『いや……だ』


怖い夢でも見ているのか、魘されている


「だから……ごめん、ルイ」


そう言ってコウはルビカーフィンの首を締める


『!?』


ガバッ


飛び起きる


『はぁはぁ…はぁ』


とても現実的リアルな夢

目覚めた今でも首には締められた感覚があるようだ

自分の首に手を持っていき

絞められていないことを確かめる


『なんなの…今の夢』


今まで見た中でとても現実的リアルで怖かった


『それに…コウが……』


口にして辞める。

彼はあんな事をしない

いつも自分のためと動いてくれている


"これが僕達の未来に繋がることなんだ"


その言葉を思い出したが

無駄な事だ

と考えるのを辞め、布団に潜った


いや、怖くなったため考えるのを辞めた

と言った方が正しいかもしれない





いつの間にか日がのぼり、朝になっていた

眠れていないためか

昨日の夢のことを考えたくないのか

ボーッとしていると


コンコン


控えめなノックが聞こえる


「ルイ?朝ですよ。起きて下さい」


そう言い入って来たのは

会いたいが"今は"会いたくない

矛盾な感情を抱いてしまった彼


「もう起きていたのですか?今日は早いですね」


少し驚いている


『う、うん…ちょっと考え事しちゃってて』


どこかぎこちない返事になってしまった


「そうですか…それは困りましたね」


目の前で悩みだす


『何かあったの??』


「実は魔導車を使おうと思っていまして」


『どこか遠い所へ??』


「リウから彼らの居場所を聞きました。そこへ行くには魔導車で3日程かかると…

ですがルイの体力が低下していれば無理に使わせるわけにはいきません。他の手を考えなければ」


コウが考え直す


『だ、大丈夫だよ!!!!

ちょっと早めに起きちゃっただけだから』


なんて言いながら、ピョンっとベッドから降りる

今の自分はうまく笑えているのだろうか

そんな事を考えてしまう


「本当ですか??大丈夫なら良いのですが」


『大丈夫!!大丈夫!!そうと決まったら朝ごはん食べて出発だね!!!!』


今は彼と二人っきりで話をするのが気まずかった


『着替えてすぐ行くね!!』


そのためか話を強引に終わらせ

着替え始めようとするルビカーフィン


「洋服はいつもの所に置いてありますからね」


それだけ言い退室するコウ


カチン


扉が閉まると同時に

足の力が抜けその場に座り込んでしまう


"あんな現実的リアルな夢をみたからだ"


何度も自分に言い聞かせる


ドクンドクン


と、うるさいほど音を立てて心臓が動く


『収まれ。落ち着け。大丈夫…大丈夫だ』


深呼吸をする


『よし』


気合いを入れ、着替え始めるのだった。





『ごめんね、待たせちゃって』


あらからまた少し考え込んでしまい、15分程経ってしまった


「女の子はオシャレに時間がかかるものよ〜」


なんて言うリウに同意し、いつもの席に座る

何も変わらない。

リウもイキもユウもコウも

みんないつも通りだ


『頂きます!!』


朝食に手を付けるのだった。

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