第14話 日常

「あー!!一人だけなんてずるい!!!!」


少年が味見をしようとしていたのを一人で食べていると、勘違いしたのか

幼い少女が大きな声を出す


「違うよ!!味見してただけ」


「ほんとうに?」


「本当」


見た所、兄妹だろうか


「今日のお昼は大好きなオムライスだよ」


そう言い少女の頭を撫でる


「オムライス!!だいすき!!!!」


少女はニッコリと笑い

少年に抱き着くのだった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『夢…??』


ルビカーフィンは先ほどの夢を思い出していた

とある日常を切り取ったような感じ

自分もメディウムでなければ

あのような生活を送っていたのだろうか

なんて思ってしまうほど、先ほどの夢は憧れなのかもしれない


コンコン


控えめなノックが聞こえる


「ルイ。いい加減起きて下さい」


扉を開け、コウが入ってくる


「何度も起こしに来たのですよ」


そう言うコウに対し


『起きてまーす』


と言いながら布団から手を出し、振る


「起きているなら、さっさと着替えてリビングに来て下さい」


『分かってるよー

コウは一々うるさい』


久々に聞いたルビカーフィンの口癖

それにため息をつき


「では、待っていますからね。着替えは用意してありますから」


と言い退室する


(もう少しゆっくりさせてくれてもいいのに)


なんて思うが時計を見ると

9時を過ぎていたため、着替え始めるのだった



「ルビーはまた寝坊?」


戻ってきたコウにユウが声をかける


「そうです」


少々不機嫌そうに返す


「いいじゃないの〜たまには」


リウが爪の手入れをしながら言う


「たまじゃないから困るのです。

ほぼ毎日起こしに行かないと起きない、声をかけないと布団からも出てこない」


頭を押さえるコウ


「そんなに神経質にならなくたって〜」


「なりますよ…人間には規則正しい生活が必要なんです」


「ホントだよなぁ」


座っている椅子をカクカクと揺らしながらユウが言う


「ユウ、行儀が悪いですよ……それになんですか、その髪型は」


寝起きなのかボサボサだ


「いやぁ…時間なくって」


アハハと苦笑いする


「貴方もルイとあまり変わりませんね……ほ ら早く整えてきて下さい」


はぁ…

と何度目かのため息をつく


「これだから男子はダメなのよぉ〜第一印象は大切なんだから」


爪の手入れが終わったのか

今度は、髪をいじっている


なぜだかこの場に気まずさを感じたイキは

立ち去ろうとする


曲がり角を曲がろうとすると


ドカッ


「!?」


『うわぁ!?』


誰かとぶつかり咄嗟に受け止める


『あっぶなぁ…ありがとう!!イキ』


着替えを済ませたルビカーフィンだった


「悪い…俺も前見てなかった」


昨日の一件以来少し丸くなり

表情も出てくるようになったイキ

そんな彼に少し嬉しくなる


「な、なんだよ…ジロジロ見んな!!」


「もしかして…恥ずかしいの?」


少し、からかっているようなルビカーフィンに対し


「お前は何も変わらないな」


とコウ同様、ため息をつかれるのだった


「ほらほら〜二人とも!!

そんな所で遊んでないで朝食にしましょ?

早くしないとお母さんの怒りが爆発しちゃうわよ〜?」


「誰がお母さんですか!!!!」


即ツッコミが入る



ルビカーフィン達は

どこにでもあるような日常を送っていた


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る