第11話 対峙

「そんな…バカな」


動揺を隠せないコウ

だが、イキの様子から事実なのだと理解する


「だからむやみに攻撃できなくて逆にやられた」


ユウが先ほどの状態を話す


(でもなんだか違和感があった)


ルビカーフィンは先ほどの戦闘に違和感を感じたようだ


(なんだろう…どこか懐かしかったような

懐かしい…?なにが…?)


考え込んでいると


「お兄ちゃん…あの人達が私を攻撃したの」


少女が言った言葉にイキは反応する


「だからね…貴方に力をあげる」


カチ


そう言いイキの首に何かを埋める


『「!?!?!?』」


「そのスフィアは!?」


『イキ!!辞めて〜!!!!』


ルビカーフィンの叫びは虚しく

辺り一帯が淀むと


ドックン


イキに負の波動が注ぎ込まれる


「くっ」


あまりの負の波動に片膝を付く三人

特にメディウムにとって負の波動は毒と同じ

辺り一帯が毒の霧で覆われている状態になってしまった


「ルイ大丈夫ですか?」


『なん…とか』


とは言うもののとても苦しそうだ


「お前は…俺が…護…る」


負の波動が身体に馴染んできたのか

喋り始めるイキ


「お兄ちゃん…これ使って」


差し出された短刀ナイフを持ち

こちらへと向かって来る


「来るよ!!」


『コウ!!!!』


カキン


そう呼び鎌でイキの攻撃を止める


『イキ!!しっかりしなさい!!』


「俺が…護……る」


もはやイキに理性は無かった


スフィアとはそう言うモノなのだ

無理矢理力を与え

兵器へと変えてしまうもの。


ギリギリと互いの刃が交じり合う


『イキ!!目を覚ましなさい!!あの子は本当に貴方の妹さんなの!?』


ルビカーフィンは先ほど感じた違和感を口にした


『貴方の妹さんは貴方に無理矢理力を与えてこんな闘いをさせようとする人なの!?』


必死に訴えるも

その声はイキに届いていない


「あいつは…俺が…護るんだー!!!!」


イキの気持ちによって力が増幅される


『くっ』


ジリジリと押されつつあるルビカーフィン


「ルイ、このままじゃ最悪相討ちになる」


『分かってるよ!!!!でもイキをこのままにしておけない!!!!』


言葉とは裏腹に体力の限界がくるわけで


『くっ』


ドッゴーン


二人は突き飛ばされた


「コウ!!ルビー!!」


ユウが急いで二人の元へ駆け寄る


「大丈夫か!?」


そこには鎌から元の姿へと戻ったコウが

ルビカーフィンの前に立ってた

ほぼ全てのダメージを自分で受けたようだ


『コウ』


ルビカーフィンが声をかけると

コウは崩れ落ちる


『「コウ!!!!』」


二人の声が重なる


『コウ!!コウ!!!!』


「大…丈夫……です」


そう言って意識を手放す

ボロボロになったコウを見て

ルビカーフィンの瞳はいつにも増して開く


『コウ』


ユウもまだ傷が癒えていないため

闘えない


『私が…弱いから…だ』


従者二人をボロボロにしてしまった事に対しての罪悪感がルビカーフィンにのしかかる


「お兄ちゃん!!今だよ!!今ならあの子使えないから!!」


少女の言葉に素直に従うイキ


「ルビー俺を使え!!!!」


ユウが叫ぶ

だがルビカーフィンは反応しない


もうイキはそこまで迫って来ていた


「ルビー!!!!」


イキが短刀ナイフを突き刺そうとした


その時。


パァン


「「!?!?!?」」


見えない壁に弾かれたのだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る