第10話 残酷な事実

「ルイ!!反応して下さい!!ルイ!!」


何度目かの声かけに


ピクリ


やっと反応したルビカーフィン


『ご…めん』


絞り出すかのような細い声


「…良かった」


ルビカーフィンを抱き締める


「っててて」


ユウも気が付いたようだ



その様子を少し離れていた所から見ていたイキもホッとした


「二人とも無事ではないけど…死んでなくて良かった」


そんな事を思っていると隣に気配を感じた

振り返ろうとすると


「ダーメ」


と少女の声がし

首もとに冷たいモノが押し当てられた。



「一体なにが?」


コウが状況を聞く


『!?イキは!?イキをあの子に会わせてはダメ!!!!』


いつもと違う様子のルビカーフィンに驚きを隠せないがその言葉だけではなにも伝わらず

再び聞こうと思った瞬間


パチン


『「!?!?!?』」


再び指を鳴らす音が聞こえ

辺りを暴風が吹き荒れる


収まると

そこには少女に捕まり

首もとに鎌をあてられているイキがいた

イキの顔はどこか暗い。


「しまった」


コウはイキを置き去りにしてきた事を後悔する


「ちっ…遅かったか」


ユウがやや乱暴に言い捨てる


「僕がイキを助けます…二人は彼女をお願いします」


と駆け出そうとするコウを


『待って!!!!』


と止めるルビカーフィン


「なっ!?待ってって…何をしているのですか!?イキを助けなければ!!」


『それは…私達には…できない』


弱々しく言うルビカーフィン

ユウもどこか悔しそうな表情をしている


「一体…なにが」


コウが戸惑っていると


「貴方達は私に攻撃できない」


少女の凛と高い声が響く


「なぜだ?主が出来ないのなら自分が」


「ダメだ」


今まで黙っていたイキが

首もとに鎌があるにも関わらず

前へ出る

首から血が流れる


「何を!?危険だ!!!!」


「ダメ…なんだ」


イキのただならぬ雰囲気に少々混乱するコウ


「コウ」


ユウが声をかける


その時、ある可能性がコウの中に浮かび上がった


「まさか…彼女は」


「そう!!!!私はお兄ちゃんの妹なの!!!!」


そう言いイキに抱き着く


「!?」


コウの可能性は的中した。

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