第8話 罠

「本来ならこんなにもしっかりと波動が見えるはずがない…ましてや自爆までさせようとした封だ。

自分の身元を隠すために痕跡は残さないようにするはず」


『私の力が強くなったわけでもさなそうだしね』


二人からの説明で漸く理解した二人


「それって…おびき出されてるってことか?」


イキが自分の仮説を口にする


「その可能性が高い」


すぐ肯定される


妹を助け出すにはまんまと敵の罠にハマらなければならない

つまり危険だと承知の上で行動をしなければならないのだ

だが、それをしなければ妹を助け出すチャンスは二度と来ないかもしれない

イキの中で葛藤が始まる


(俺のせいで三人を巻き込んでしまう

けど巻き込まなければ助け出せない

俺一人じゃ助け出す力もない)


『まっ、行ってみれば分かるでしょ』


「え…?」


ルビカーフィンの一言に

思わず声が出てしまった


「どうかした?」


ユウが声をかける


「いや、だって…態々罠に飛び込んで行くことなんて」


「そうしなければ妹さんを助け出す方法はない」


コウが言い放つ


「で、でも!!」


『イキは妹さんを助け出したいんだよね?』


ルビカーフィンが不思議そうに聞いてくる


「そうだけど!!態々お前らまで罠にハマりに行くことはない!!

場所さえ教えてくれれば俺一人で行く!!」


これが今、イキに出せる精一杯の答えだった


「それで確実に助け出せる可能性は極めて低いかと」


コウにすぐ否定される


「で、でも!!!!」


『大丈夫だよ。私達は今まで何度もアルケミストの成れの果てと闘ってきた

時には人間とも闘った』


「!?同じ人間…とも…?」


「そうです。そうしなければ生きていけなかった」


『もう!!コウは堅すぎ!!イキは私らの事を巻き込みたくないから

あぁゆう言い方したんだよ?』


ルビカーフィンはコウに物申す


「えぇ。分かっています」


『分かってるならあんな言い方しなくてもいーじゃん!!』


ユウにとってはいつもの事だが

イキからしたら申し訳ない二人の言い合いが始まってしまった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る