第5話 本当の意味
凄まじい威力に驚きが隠せないが
少年はやり遂げた思いでいっぱいだった
帰ろうとした瞬間
ガッ
身体が地面に押し付けられる
「なっ!?」
そこには先ほどまで
あの家の中にいたはずの
三人が居た。
「な、なん…で」
少年は驚きを隠せない
「誰のさしがね?」
少年を押さえ付けているユウが
いつもより低い声で尋ねる
「……」
「だんまりか。別に構わないけど
君これからどうなるか分かってんの?」
鋭い目で少年を見る
少年は一瞬怯えた
だが唇を強く噛み耐える。
「別に答えなくてもいいけどさぁ」
だんまりを決め込む少年に言う
それまで黙っていたルビカーフィンが
喋り始める
『君の主?は余程残酷な人なんだね』
「え…?」
少年にはその言葉の意味が分からなかった
『周りを見てみなよ』
言われた通り見渡す
「!?」
辺り一面、少年が居る所以外
木々も地面もめちゃくちゃに
吹き飛んでいた。
「ルビーが気付かなければ、きっと貴方も巻
き込まれていたでしょう」
「!?」
コウの言葉に絶望する
自分もこの三人と一緒に
消される予定だったのだ
『その人に私達を消せって…言われたの?』
ルビカーフィンは少年の近くへと行き
しゃがみ込む
「……」
だが少年は何も言わない
「あのねぇ…だんまりじゃ何も伝わらない
から」
痺れを切らしたユウが強めに言う
「………」
それでも少年は何も言わない
『貴方の使った封は自爆と同じ意味の印が書
かれていた
自爆するにしては少し凝ってる。
貴方は誰かに頼まれて使ったんじゃないの?』
ルビカーフィンの優しく
それでも答えを聞き出そうとする姿に
少年は弱々しく
「妹が…捕まってるんだ」
と言う
「それは人質にされていると言うことです
か?それで貴方は僕達を狙って」
「たった1人の兄妹で!!家族なんだ!!
でも…もう終わりだ
失敗した…俺もあいつも
終わりだ」
最初は威勢が良かったものの
最後の方は弱々しくなる
『貴方の主は?』
「詳しくは知らねぇ…急に妹が連れ去られ
て…俺何も出来なくて
そしたら最期のチャンスをやるって言われ
て」
「それが俺達を消すことだったわけ…か」
「でもまさか、自分まで消すようなモノだっ
たなんて…最初から妹を返すつもりなん
てなかったんだな…ハハ」
どことなく自傷的になる少年
「疑問がある。
なぜ妹さんが連れ去られたんだ?
なぜ僕達を消そうとした」
『考えるだけ無駄。
私達が邪魔な人はたくさんいる』
そう言い立ち上がるルビカーフィン
そのまま壊れた家へと向かって行く
パチン
彼女が指を鳴らすと
一瞬で家が元に戻った
「!?」
これには少年も驚きを隠せない
「どう…なってんだ」
「まっ、一々どこの誰かって探し回っても
きりがないもんなぁ」
少年の拘束をとき
グッと背伸びをするユウ
『貴方…名は?』
「俺と妹に個別の名前はない
物心付いた時から
"イキ"って呼ばれてた」
『そう、ならイキで反応はしてくれるのね?』
「あぁ…でもなんでそんなこと」
『妹さんを助けに行こうと思って』
「!?!?!?」
「えっ?えっ?」
「きゅ、急に何を言い出すのですか!?」
さすがの二人もルビカーフィンの発想には付いていけなかったようだ
『彼も…被害者でしょ?』
"被害者"
それはルビカーフィン達にとっては
とても重要な言葉
「だとしても、どうやって」
『この封から印を描いた人を探せばいい』
ルビカーフィンの手にはいつの間にか
先ほどの封が握られていた
「そんなこと可能なのか?」
少年…もとい
イキが尋ねる
『人間は微量ながら波動を発しているから
それを辿ればいいだけ』
「で、でも!!
俺はあんたらの事を消そうとしたんだ
ぞ!?
なのに急に妹を助けるとか」
『ダメなの?』
何か可笑しな事でも言っているのかと不思議そうに返答する
「いや、そうじゃなくて
あー…もう!!
なんなんだよ」
『コウ、ユウ、反論は?』
「主の命ならば」
「俺もルビーがいいなら…いいけど」
二人もあまり納得がいっていない様子だが
主が決めたことならば
と了解する
「あんた…何者なんだ?」
『あんたじゃない!ルビカーフィン!!』
「あ、あぁ」
『……私は…メディウム』
「実在したのか!?」
イキが驚くのも仕方ない
メディウムは二千年前の戦争で
ほぼ滅びたと言われている
『とは言っても本当かどうかはイマイチ
分からないのだけれど…
でもコウやユウを扱えるって事は
そうだと思う!!』
「そうか…まさかメディウムに会えるなん
て」
イキは驚きと共に感動した
「明日の朝にでも出発しましょう
夜は闇が強すぎる」
コウが辺りを見渡しながら言う
『そうだね、イキ貴方も家へ来なさい
外に居るのは危険だから』
「??分かった」
何が危険なのかは分からなかったが
彼女達が言うのなら
危険なのだろうと
三人と一緒に家の中へと入って行った
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