第3話 もう1人の少女

「いらっしゃい!!今日はいいものが入ったよ!!」


「朝イチ採れたて!新鮮だよ!!」


あちこちで客引きの

賑やかな声が聞こえる

街のマーケットだ

たくさんの人々で溢れかえっている


その中である男性が商品をみていた


「お!お兄さん!いい所に目をつけるね!

これは昨日入ったばかりの新商品!!

今ならなんと1,000ベガだ!!」


「1,000ベガか…少し高いね」


お兄さんというには少し歳を取っているように見える

中年くらいで英国紳士のような格好をしている

男性が悩んでいると携帯の着信音が鳴る


「もしもし…そうかい、すぐ向かうよ。

失礼、急用が入ってしまってね。

また来るよ」


そう店主に言い

男性は歩いて行く

少し歩くと黒色のセダン車が停まっていた


「お帰りなさいませ」


車から出てきた人物がドアを開けると

男性は車内へと入る


「ご苦労だったね」


そこには10代後半くらいの少女がいた

シルバーの髪をツインテールにし

黒いゴスロリを着ている


「おじさんの言う通り、この格好をしていた

ら簡単にかかってくれましたよ

こちらの男性は随分と弱いのですね」


少女は凛とした声で言う


「そうかい、そうかい。所で殺してはいない

よね?」


クイっとメガネを上げながら尋ねる


「えぇ…眠ってもらっただけ。

でも何に使うの?」


少女の黄金色の瞳が男性に向けられる


「なに、少し役立ってもらうだけだよ」


的を射た答えではなかったが


「そう、まぁ興味ないけど」


まともに答えてもらえなかったからなのか

本当に興味がないのか

少女はプイっと外を向く


「そうかい?ならこれは? 」


男性がポケットから1枚の写真を出す


少女はチラッと見た後


「あら…これは懐かしい」


ソッポを向いていた顔が写真へと向く


「興味を持って頂けたかな?」


探るように尋ねる


「えぇ…とても。顔を合わせてもいいの?」


少女は興味を持ったらしく

今すぐにでも会いたいらしい


「もう少し待ってほしいかな」


男性は、すまないね。と謝る


「そう…でもいいわ。食べ物と部屋させ与え

て貰えれば」


少し残念そうにしながらも

要求はしっかりとする


「もちろんだよ!君が望むならいくらでも与

えるよ!!…君の居場所もね?」


そう笑っている男性はどことなく

黒い雰囲気を纏っていた。

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