第2話 我が家♪暖かい場所

『なにって…ユウに湖から出されてそのまま

ユウを見ていた』


ハァ…

と何度目かの溜め息


「せめて服くらい着て下さい。それと…ユウ」


キッとユウを鋭い目で見る


「な、なんだよ」


ユウの顔が引きつる

少々怯えているようだ


「何をしているのですか!?だいたい貴方はいつも!いつも!!!!」


まるで子供を叱る母親の如く怒る


「ご、ごめんって!」


子供のように謝るユウ


「はぁ…ほら帰りますよ」


この数時間で何度ついたか分からない溜め息


『まだいい』


そう言いジャケットを脱ぎ

また湖へと向かって行く


「昼食はオムライスにしますよ」


その言葉にピクっと反応する


『なら…帰ろうかな』


ここにも子供のような反応をみせる人がいた


「サラダも付けてね☆」


ウィンクしながら言うユウに対し


「貴方もたまには手伝う事をして下さい」


と反論されるのだった。



三人が向かう先には

お世辞にも立派とは言えない

こじんまりとした一軒の家がある


一階建てで

大きな窓があり

小さいがテラス席もある

井戸もあり

誰かの趣味なのか小さな畑もある

少なからず自給自足は可能だ


花々に囲まれた石畳を渡り玄関へ着くと

右側には小さいけど立派なバラ園がある

木製でできた扉を開けると

室内は綺麗に整理整頓されており

茶色をベースとした家具が無駄なく置かれている


「ほら、早く服に着替えてきて下さい」


そう言い服を渡す姿は

まるで親のようだ


『分かってる』


一言返事をして自室へと戻る


「ユウ、貴方は食事の準備を手伝ってもらいます」


クイっとメガネを上げながら言う


「分かってます」


コウには勝てないユウなのであった…。



新しいワンピースに着替え終わり

キッチンへと向かう


野菜の匂いと共に炒める音も聞こえてくる


「お、なんか新鮮じゃん!」


1番に褒めてくれたのはユウだった


薄い水色のワンピースには

羽根の模様が所々刺繍されており

少しフェアリーな感じに思える


「野菜切り終わったのなら運んで下さい」


効率良く物事を進めたいコウにとっては

少しでも無駄な事をされるのがいやだ


「はいはい、もう食器並べてあるから」


ぶっきらぼうに返すユウ


「そうですか、ありがとうございます。こちらもちょうどできました」


出来立て、ホカホカのオムライスが

目の前に置かれる


『美味しそう』


紛れもなく心の底から出た言葉だった


「それでは座って下さい、頂きます」


「頂きまーす」


『頂きます!!』


一口食べただけで美味しい事が分かる

トロトロの半熟な卵に

細かくも食感のある野菜

決め手はなんと言っても

コウお手製のソース

このソースと卵、ご飯、野菜との相性が抜群なのだ


『幸せ♪』



こうしてほのぼのとした1日は過ぎて行った

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