第19話 日常②
「なあ、何か先週はいろいろあって疲れなかったか?」
「そうね、確かに疲れたわ」
「色々ありましたもんね」
「刺激の強い一週間だった」
俺達は今、ギルドの酒場でいつもなら作戦会議をしているが今日はお話し合いをするために集まっていた。
異世界転生をして一週間。転生初日にサリナとミイナを助けて、狩り行って、スミレが入って、レッドドラゴンと戦って、パワースチルの大群と戦うなど色々な事があったけど、本当は、もっとのびのびと暮らしたい。
「いつでも宿暮らしは嫌だ。だから、これからは高報酬のクエストで小さな家を買ってのんびりしたい」
「家ね、いいとは思うけどさ私達が何で手伝わなきゃいけないのよ」
「そうですよ。自分の事は自分で、ですよ」
「何で真城が住む家の為に手伝わなきゃいけないんだ」
「??何を言ってんだ?お前らも暮らすんだよ。だから一緒に頑張ろ!」
「「「えっ?」」」
「ちょっと待ちなさい。私達も暮らすってどういう事よ?」
ミイナとスミレが頷いている。
「だから、お金を貯めて小さな家を買って一緒にのんびりしようって事だけど?」
「それはわかってますよ。それに何で私達が一緒に住むんですか?」
サリナとスミレが頷いている。
「いやいや、一緒のパーティの仲間じゃないか。1種のパーティホームみたいな感じだよ」
「だから、我らが住んでいいと?」
サリナとミイナが頷いている。
「当たり前だろ?早速お金稼ぎに行こうぜ」
これには訳がある。
********************
実はパワースチルを倒した翌日のこと。
宿の周りを散歩していると、暇だったのかあのラッパーさんに会ったのだ。
「おお〜!真城君じゃないかyo!今日は休みかyo?」
「ええ、まあそんなところです」
「休みは大切だからyo!いいことだze!休みで思い出したんだがyo、イージスのメンバーは君以外女の子だyoね。だったら男として、ハーレムでも作るといいんだyo!」
「ハーレムってそんなたいそうな・・・詳しくお願いします」
「おっ!食い付きがいいんだyo!いいか、まずは家を買うんだyo。そしてみんなで住んで、私生活を半見え状態にするyo。からのクエストによる吊り橋効果を使い好感度UP。後は自分で考えるんだyo」
「お、おお!これは実にいいですね〜!早速明日から実現に向け頑張ります!」
「頑張るんだyo!」
********************
という訳だ。
これは真城ハーレム計画の一つなのである。
ハーレムを作る意味?
そんなの女の子1人からじゃなくて色んな女の子からちやほやされたりイチャイチャしても恥ずかしくない環境を作らないと。
「一緒に住むなら手伝わなきゃいけないわね」
「そうですね、わかりました。みんなの家を買うために頑張りましょう」
「我が住むからには大きな家じゃないとな」
こうして、真城ハーレム計画フェイズ1『家を買う』が始動した。
「それで、家ってどのくらいの値段がするんだ?」
俺は2階に上がりながらミイナに家を値段を聞いてみる。
値段を聞いておかないと場合によっては高難度のクエストも選ばないといけないししなくてもいいかもしれない。
「私達が暮らすくらいだと大体・・・」
「200万ユナイだろう。我が住むからにはそのくらいは無いと無理である」
200万、白金貨2枚か金貨200枚か。道は長そうだ。
「まずは一番報酬の高いクエストを探してみよう」
「「「おー」」」
クエストは基本的に
手伝い系<採取<狩猟<商隊護衛<要人警護
の順番で報酬が高くなっている。
この世界では物資の輸送がとてつもなく重要で商隊が一つ壊されると損害が痛いらしく、場合によっては要人警護より報酬が高くなる時もある。それだけ物資が重要だということである。
「あっ、真城!アナマスさんの護衛が出てるわ!」
「なに!?受けるぞ!アナマスさんには結構お世話になっているからな」
「だろうと思ったわ。受付嬢さんに出してくるわね」
「おう!よろしく頼む」
「おい、真城。アナマスさんとはこの街の町長のあのアナマス家か?」
あ、そうかスミレはアナマスさんに会った事ないんだっけ。
「ああ、そのアナマスさんだけど何で震えてるの?」
「いや、真城、アナマス家だぞ?あの帝国の懐刀で有名なあのアナマス家だぞ?我の性格では首チョンパされるかもしれない」
あの人に限って、そんなことはまず無いと思うんだが。
逆に興味持つんじゃないか?
「面白そうな人だな」とか言いながら観察して来そうだ。
「大丈夫だって、あの人はそんな野蛮な感じじゃないから。なあミイナ」
「ええ、リーゼルさんはむしろフレンドリーですよ。スミレちゃんも仲良くなれると思いますよ」
「家名ではなく名前で呼ぶとは。真城達はアナマス家の人と一体どんな関係なんだ?どちらにしてもただの物好きパーティかと思っていたが、う〜ん、見直したぞ」
なにか引っかかるがまぁいい。
リーゼルさんに会うのももう3回目か。
なんか俺って結構すごいんじゃないか?
帝都までの護衛だがそうそう困る事にならないだろう。ついでだから剣と魔法を教えてもらえるといいな。
「出してきたわよ。なんか屋敷に行って挨拶して来いって言ってたわ」
「そうか、んじゃ行こっか」
その後、アナマス家の屋敷に行き、門の前でプルプル震えているスミレを引きずって門番にアナマス家のペンダント見せ簡単に入ると「真城たちは貴族か何かなのか?まさか我はとんでもない場違いなパーティに入ったのでは」などと誤解をしているがスルーして玄関に向う途中で玄関を開き・・・
「真城くん!よく来てくれた!」
と言いながらリーゼルさんが走ってくる。この人は一体どんな体をしているのだろうか。
「丁度よかった。実は・・・ん?前より1人増えたな?」
「ええ、新しいパーティメンバーです」
「えっと、あの、イージスの新しいメンバーのスミレだ、です。よろしくお願いします」
「はっはっは!別に固くならなくともよい!真城くん達とは友達の様なもんだ、つまりスミレさんとも友達というわけだ!おっと、自己紹介がまだだったな、リーゼル・アナマスだ、よろしく頼む。でだ、真城くん実は、私は帝都な行かなければならないんだが、帝国法の決まりで護衛を付けないといけない。そこで護衛を頼みたいんだがどうだ?」
「どうだも何もたぶん俺達がここに来た目的と同じでしょう。ギルドに護衛の依頼がありましたよ?」
「何?ああ、またやられたか」
「やられた?」
「ああ、メイドだよ。スミレさん以外は見たているはずだ」
「あの時、一緒にいたメイドさんですか?」
とミイナが答える。
ああ、あの時隣にいたメイドさんか。
「そうだ、あの娘には妻の次に頭があがらん。仕事を投げ出してこっそり町に出ようとすると出口で捕まえられるし、着替えを覗こうとするとすぐにばれて鉄拳くらうが、仕事の手伝いは完璧だし。身の回りのことまで完璧。頭が上がらないんだ。」
いや、あんた、なにやってんの。
気持ちは分からないわけではないけど、どれも、当主としてあるまじき行為だよ!?
「リーゼルさん、あなたプライベートでなにをやってんのよ」
とサリナがハッキリと答える。
「ウッ。ハッキリ言われるとキツいな。おっと話が逸れたな。護衛は真城たちがやってくれるのか?」
「ええ、そういう事になりそうです」
「そうか!ありがとう!なら今日は泊まっていくといい」
「えっ、いいんですか?」
「構わん構わん。明日から頼むぞ」
「わかりました。明日から存分に働かせて貰います」
「頼んだぞと言いたいが、すまない、まずは妻に会ってもらえるか?」
「ええ、構いませんが」
屋敷の中に入りリーゼルさんの奥さんの部屋を案内され歩いていると
「先に言っておこう。実は私の妻は魔眼持ちでな他人の本性を見抜くことが出来る。私が見て君達はやましい心はないようだが一応決まりでな。差別はしてくれるなよ」
「もちろんです」
でもなんでだろう差別なんてしないだろ。
(なあミイナ。何でリーゼルさんはこんな事言ったんだ?)
(実は魔眼持ちは片目の色が普通の人とは違って虹色をしていて嘘や秘密など見抜いたりするのです。その事から人々からは避けられることが多いんです)
なるほど、嘘を見抜かれたりとか自分の触れてほしくない部分まで見られるかもしれないからか。
だからリーゼルさんは頭が上がらないのか。
でも、確かに嫌かもしれないけど、多分魔眼持ち達は好きでやっている訳ないかもしれないのに・・・
世の中って理不尽だな。
と考えているとリーゼルさんの奥さんの部屋に着いた。
「ここだ。ラナ入るぞ」
中に入ると銀髪で目の色が虹色の綺麗な
「エルフだ・・・」
「リ、リーゼルさん!エルフとご結婚をされていたのですか!?」
「うっそー、初めて見たわ。しかも両目が虹色って。綺麗」
「重複魔眼とは!我の憧れだ!」
この世界ではエルフは全人口の5%しか住んでいない。
つまり出会うことは滅多にないのだ。
重複魔眼とは、通常片目だけの魔眼が両目にあり能力を2つ持っている、ごく稀にある現象の事である。
「ようこそ、いらっしゃいました。気は遣わないでく、だ、さ、ぃ。え?うそ、あなた、少しいいかしら?」
「ああ、どうしたんだ?」
一体どうしたんだろう。
まさか気にさわった!?あわわ、まずい!
斬られるかも知れない!
サリナ達も同じようにオロオロしている。
(リーゼルさんとラナさんの会話↓)
「ねえあなた。この人達、一体何者!?」
「ん?ただの友達、もしくは遊び相手だな。どうかしたのか?」
「この人達、私の魔眼の方で計り知れない潜在魔力と強さを持っているわ!」
「な、なんだって!?ラナの潜在探知で計り知れないだと!?」
ラナさんの潜在探知はほとんどの潜在力を探知できる。それを超える力を見たのは初めての事なのだ。
「ええ、特にあの男の子。あの子なんてとんでもないわ。見られないもの」
「嘘だろ。ラナ、真城達は鍛えたら強くなるのか?」
「いいえ、あの子たちは鍛えられて育つタイプの潜在力ではないわ。困難を乗り越えて行かないとリミッターが解除されていかないタイプよ。だから、鍛えても基礎が少し増えるぐらい」
「なるほど。こいつらはこれから大変な運命と言う事か」
リーゼルさんはオロオロしている真城達を見ながらそうラナさんに答えた。
(リーゼルさん達の会話終了)
「はっはっは!何をそんなにオロオロしている」
「俺達何か悪い事しましたか!?」
「はっはっは!何を言っている。ただの個人的な会話だよ。すまんな!」
はぁ。よかったぁ。早速死ぬかと思った。
でも、どんな話だったんだろうか。
(ラナさんが話す瞬間、ラナさんが結界をはったため、サリナとミイナも聞こえなかった)
「すみません。少し、夫を叱る事があったものですから。改めまして、リーゼルの妻、エルフ族のラナ・アナマスです。よろしくね。真城さん、サリナさん、ミイナさん、スミレさん」
「おおお!我の名が分かるのか!さすが、重複魔力だ!あなたの魔眼の能力はなんだ?」
「え?ええっと、人の名前と善か悪か見抜く力よ、特に必要でもないわ」
「それでもすごいぞ!いやぁ、私の願いが3つも叶うとは。我は幸せだ」
(願いとは、エルフに会う、魔眼持ちを見る、重複魔眼を見る、である)
「あはは、あなた達面白いわ。気に入ったわよ。悪心は無いようだし、夫の護衛、よろしく頼むわね。今日は明日に備えて食事を摂ってもうおやすみなさい」
「ではお言葉に甘えて。よし、みんな休むぞ!」
「「「おー!」」」
とりあえず、クエストは大丈夫なようだ。
はぁ、緊張した。
(その頃、帝都モンドビーラのとある貴族邸では・・・)
「アナマス家の連中が皇帝閣下に貴族の不正や賄賂などの事がを報告するため帝都に来るらしい」
「それは本当か!バレてはまずい」
「ここは、いっそのこと暗殺するべきと考えるが、どうする」
「騎士団に殺らせよう、アナマス家を殺した盗賊を滅ぼすという名目で」
「それはよい考えじゃな。これで不正の隠蔽も出来て、アナマス家の仇討ちの肩書きも手に入る。一石二鳥だな」
「しかし、バレないだろうか」
「なに、どこかにバレれば殺し屋に頼んで隠蔽だ。金など気にしなくともそのうち献上してくるだろ」
「それもそうだな」
アナマス家、真城達に危機が迫っていた。
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