第17話 世界の異変(?)

「今日は、どうしようか」


「そんなこと言われても、特に何が倒したいって感じじゃないのよねぇ」


「確かに、倒したいモンスターもいませんしお金に困ってるというわけでもありませんから」


「我は倒すならあのレッドドラゴンがいい」


「いや、それはないだろう。戦うにしてもレベルを上げて、もう少しスキルを覚えてからだろ」


ちなみにスミレはレベル7だが、俺と姉妹さんはレベル4である。

後で知った事だが、レッドドラゴンの討伐推奨レベルは30だった。俺達の様な駆け出しがレッドドラゴンと出会い、生きて帰って来るのは奇跡に近いらしい。

本当にかえりん様様だ。


「ならクエストを受けずに森に入るか?」


「そうね、報酬金とかはないけどいろんなモンスターを狩れるし」


「自由度も高いですしね」


「ちょうど新しく試したい技があったのだ。我にとっても都合がよい」


「決まりだな。早速出発だ。レッドドラゴンに出会ったら、すぐに逃げるからな」


「わかったわ」

「わかりました」

「ええ〜・・・はい、わかりました。だから睨むのやめてください」


このやろう、いつか痛い目に合わせてやろえか。


********************


「さてと、来たはいいけど何でこんなにもモンスターがいないんだ?」


「恐らく、ギルドの依頼などで周りのモンスターをほぼ倒しているのだと思います」


なら意味が無くないか?


「まあまあ、ピクニックみたいな感じで行けばいいのよ」


「そうだな、別にクエストでもない。モンスターが現れなければそれはそれでいいのだ」


「確かにそうだな。あ、そう言えばサリナ達やスミレは故郷ってどこなんだ?」


「私達は帝国内の小さな辺境の村よ。ここから竜車で3日くらいのところかしらね」

「ほとんどが猫人族ですが他種族も少数ですが住んでいます」


「へぇ〜賑やかそうな村だな。スミレは!」


「我の故郷は隣国のヒスイ王国の王都だ。王都と言っても中流層の一般家庭だがな」

「ヒスイ王国ってあなた大丈夫なの?」


「どうしたんだ?急に」


「真城、あんた知らないの?ヒスイ王国は今権力争いのせいで地域によっては内乱状態」

「しかも、それらの鎮圧の為に軍まで王都から派遣されているので、王都では治安の維持が大変らしいんですよ」


「いやいや、それはあくまで上流層の話だ。私たち、一般民にとって王都では関係のない話だ。まあ、内乱地域は別だが」


「どんな所でもそういう事があるんだな」


地球でも内乱状態の場所はあるしな、否定出来ないのが少し悲しいな。


「真城さんの故郷はどんな所ですか?」


「俺の故郷は、楽しいところだよ、治安も良かったし(殺されるまでは)」


「行ってみたいです」


すまんミイナ!それは無理だ、異世界だから行くことは出来ない!

なんて言えるはずも無く、苦笑いするしかなかった。


「しっ!みんな、モンスターの足音が聞こえる。こっちに向かって来てるしかなりデカいわ。だけど、ドラゴンじゃない」


それぞれ武器を取り戦闘態勢になり警戒する。


「ミイナ、スミレ、いつでも魔法が撃てる様にしておいてくれ」


「わかりました」

「了解だ」


「来た!でやぁッ!」


サリナが先陣をきってモンスターの身体に攻撃をする。

現れたモンスターは恐竜と呼んでいいような体型をしていた。体長は10mぐらいだろう。


「ミイナ、スミレ!後衛は任せた!」


俺は噛み付き攻撃を避けて首の下に入り込み首に斬撃をくらわせる。しかし、傷が浅く、怒らせただけのようで前足で吹き飛ばされてしまった。


「ヒール!」


「ありがとう」


ミイナのヒールで傷が治っていく。

すぐに相手の懐に入り込み剣の一本を突き刺す。血が吹き出るがまだ倒れない。

サリナも反対側で高速斬撃をしているが、あまり効いてないようだ。

モンスターも身体を回転させる。サリナは足に当たってその場に倒れるが大した事は無いようだが、俺はまともにくらってしまった。

またまた吹き飛ばされて木に激突した。何とか立ち上がれたが防具が無かったら確実に死んでいた。


「フィールドヒール!」


スミレが広範囲ヒールをかけ、サリナと俺の傷が治る。


「あのドラゴン程じゃないけど、硬いわね」


「ああ、剣を突き刺してやっと大ダメージってところだ。さて、どうすれば・・・突き刺すか。ミイナはアイススピアをスミレはその槍で突き刺してやれ!」


「わかりました!アイススピア!」

「本領発揮と行こうか!必殺!1点集中!」


身体中にアイススピアが突き刺さり、スミレの攻撃によって腹に穴が空いた。


「ふう。何とか倒せたな」


「そうね、私と真城の斬撃攻撃じゃあ勝てたか分かんないわね」


「そうだな。ありがとなミイナ、スミレ」


「どういたしまして」

「もっと感謝してもよいのだぞ?」


「それにしても何でこんな所にパワースチルの親玉がいるのかしら」


「確かに、本来サファ公国の西に居るはずなのに・・・これは何か異変が起きているとしか考えるしかないな」


と、サリナとスミレが話しているが何がなんだかさっぱりだ。


「なあ、ミイナ一体どういう事なんだ?」


「真城さんあなたは何故こんな事も知らないんですか?まあ、いいです。このサジェスト帝国はこの世界最大の大陸『ジュエル』の中心です。東側の隣国がスミレの母国ヒスイ王国。西側の隣国がこのパワースチルの住処でもあるサファ公国です。あと、南にゴル民国。北にプラチナム共和国があります。一応教えておきますが。ジュエルを中心に北の大陸『ホウセ』を治めるスイショ連邦、西の大陸『シュモク』にはアメチュス教国、南の大陸『ホイエリア』はエセメラル善魔国、そしてこの世界の敵である東の大陸『ビジュ』を統べる魔王の国、ペーラル魔王国。これらがこの世界『ダイヤラス』を形成する国と大陸です。長くなりましたがこのくらい知っていて当然なんですよ」


「なんかすまんな」


なるほど。勉強になった。恐らく魔王の動きが活発になる前兆なんだろう。


「一応、ギルドに報告した方がいいわよね」


「そうだな、今日は帰ろう。もしかしたら、大変な事になる前兆かもしれないしな」


スミレの放った言葉に誰も否定できなかった。

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