第14話 レッドドラゴン

出会ってしまった。

この地域で最強のドラゴン。

レッドドラゴンに!


「グオォォォォ!」


やばい、やばい、やばい!

これはかなりやばい!

体長50mはあるだろうこのドラゴン!

そういえば、受付嬢さんがクエストに行く前に・・・


********************


「ルビラビットですね、わかりました」


「では、行ってきます」


「あ、待ってください。最近、森に入って帰って来ないパーティーや冒険者がいるので気をつけてください。もしかしたら、ドラゴンが出現しているのかもしれません。クエストのついでに森の調査をお願いします。ドラゴンでもレッドドラゴンだったら全力疾走で逃げてくださいね、喰われますよ」


「縁起でもないこと言わないでくださいよ!まだパーティー結成して3日ですよ!?まだ死にたくないですよ!」


「まあまあ、何もなければいいんですから。では、頑張ってくださいね」


********************


とか言ってたんだよなぁ〜

全く迷惑なもんだ。


「ねえ、真城。このドラゴン倒したら我の名声はあがるか?」

おっとスミレさん、中二心が高ぶっていますね?


「上がると思うが流石に、あ!待て!止めんかぁぁぁ!」


「我が名はスミレ!さあ、我の力の前にひれ伏すがいい!アイスジャベリング!」


スミレの頭上に無数の氷の槍が出来上がり、レッドドラゴンに刺さる。

が、あまり効いてないような・・


「グワァァァァァ!」

レッドドラゴンは攻撃受けて怒り、炎ブレスを吐く。

怒っているせいか、痛みのせいなのか、何とか回避が出来た。


「こうなったら仕方がない!サリナ!存分に力を発揮してしまえ!」


「分かったわ!さぁ、レッドドラゴン!私たちとどっちが強いか勝負よ!」


いや、勝負されても・・


「ミイナは、全員に支援魔法を!攻撃はまかせる!」


「わ、わかりました!ステリング!」


よし、これである程度は強くなった。

こういう事ならサリナに盾持ちさせとくんだった!


俺も剣を抜き突撃する。

ドラゴンが手で俺を吹き飛ばそうとするが、大きが為の障害であるスピード低下が仇となり当たらない。手を回避し追撃を加える。

硬っ!やっぱり鉄の剣じゃあ無理か。こうなったらスピードを活かして関節を狙うか。

ドラゴンとて全てが硬い鱗で覆われているのではない。関節はスムーズに動かすためにある程度は柔らかくなっているものだ。


「スミレ!関節だ!関節を狙え!」


「了解だ!エアカッター!からの、はあ

っ!」


スミレのエアカッターが左手の手首に直撃する。

やはり、関節は弱かった用で少しだが傷が入った。そこにスミレの槍がクリティカルヒットだ。血が吹き出す。


「グルルゥゥ」


流石に効いたようでドラゴンも唸っている。


「みんな!関節だ!関節が弱い!魔法と連続で攻撃すれば勝てないこともないぞ!ミイナは俺とサリナの支援を!」


「わかりました!やっちゃいましょうか!」

お?ミイナさんがかなりやる気になってるぞ?


「サリナはスピードと跳躍力を活かして腕を頼む!」


「分かったわ!」


「スミレ!お前の得意なソロ戦だ!右足を頼む!」


「何だか癪ですが、まあ自分でやるのは大得意です!いいでしょう!やってやろうじゃありませんか!改めて、我が名はスミレ!その身を持って我の力、思い知れぇッ!」


こういう時に実力のある中二病は役に立つ。


俺も跳躍力はないので左足に突撃する。

最初はミイナの魔法が左肘に直撃しサリナが追撃する。ドラゴンの攻撃を躱しながらとんでもないスピードの連続攻撃だ。対人戦はしたくないな。

次にスミレが右足首に攻撃を加える。中二病でも実力はあるので確実にダメージを負わせている。

俺もミイナの攻撃が加わった左足首を狙って連続攻撃だ。ドラゴンの血が吹き出す。

それを2、3回食らわせた時だった。


「グオォォォォ!」


「サリナ、危ない!」


ドラゴンの右手がサリナに直撃する。サリナは飛ばされ近くの木にぶつかる。


「大丈夫か!?」


「だい、じょうぶ。何とか、生きてる」


「ミイナ、回復頼む!」


「わかりました!ヒーブラン!」


サリナの傷がみるみる治っていく。


「ありがとうね!」

サリナがミイナに礼をいう。


スミレが戻って来た。

「サリナさん、大丈夫で・・すね。真城、そろそろ魔力が底をつく。どうする?」

「真城さん私もそろそろ無くなりそうです」


俺も、体力が無くなっている。息をするのが精一杯だ。

やっぱり、ドラゴンを倒すのは無理か・・・

ドラゴンがこちらを向いてブレスを吐こうとして殺られるのを覚悟したその時だった。


ドラゴンの横から人影が現れ、ドラゴンの横顔に蹴りを食らわせ、尻尾の追撃をお見舞いしていた。

ダメージこそ与えられなかったものの、ドラゴンは怯んでどこかへ飛んでいった。


「大丈夫、ですか?」


その人影はチャイナドレス風の衣装から綺麗な足をのぞかせ、鱗のついた尻尾を持ち、胸も普通より大きく、整った顔に耳は少し長く頭に角を二本生やしている、竜人族の美少女が目の前に立っていた。


この竜人族の美少女が又、パーティーに新しく加わる心強い仲間だとも知らずに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る