第9話 クエスト報告
頬がヒリヒリする。
ラッキーウルフ討伐を終了させ、サリナたちにビンタを喰らって町に戻って来た。
「あ〜!頬が痛いなぁ〜!」
わざとらしく叫ぶ。
「自業自得でしょ」
「真城さんが悪いです」
「いや、あのねお嬢さんたち、あれはスライムがですね、やった訳なんですが」
「それでも、普通気づいていたら女の子の前に出ないでしょ!」
「変態、です」
「ウグッ!ミイナさんあまり、はっきり言われると傷つくよ!」
俺はオーバーリアクションが身についてしまっているのだ。
そんな俺の反応が面白かったのかミイナとサリナは揃って笑顔で
「「冒険者から変態にクラスチェンジするんですか?」」
「ウグッ!止めてください!ミイナさん!サリナさん!」
俺はミイナたちに盛大な土下座を見せた。
「まあ、今日はこれくらいにしといてあげましょうか」
「そうですね。あまりやりすぎると、真城さんがか、かわいそうです」
おい、なぜ噛んだ?そして、かわいそうの部分が棒読みだったのは気のせいか?
そうしていると、ギルドの前に着いていた。
「ま、まあ気を取り直してギルドに報告だな」
「そうね、早くご飯食べたいし」
「当然、真城さんの奢りですよね」
ミイナさん、笑顔が怖いのですが気のせいでしょうか?
「わ、分かったよ」
クソ!あのスライム絶対討伐してやる!
そうして俺達はギルドに入り、2階へ移動して、受付嬢に報告する。
「すいません、クエストの報告をしたいんですが」
「わかりました、ではまず登録証を出してください」
「わかりましたけどなぜです?」
「登録証には受注中クエスト、モンスター討伐数が記録されているのです」
けっこう便利だな、これ。
「お疲れ様でした。報酬のユナイです。そして、親玉の確認及び討伐の追加報酬の2万ユナイです」
「へぇー。親玉討伐ってこんなに貰えるんですね」
「はい、親玉系統のモンスターはその地域の生態系の破壊もありますし、人々に被害をもたらす危険性もありますから追加報酬をお渡ししているのです。ちなみにモンスターの強さ、脅威度によって報酬も変わります」
変動報酬制なんだな。
ちなみにラッキーウルフの親玉は親玉系統の中ではあまり強くないそうだ。
ラッキーウルフの親玉で強くないってどういう事だよ・・・
そして俺達は報酬を貰い受付を後にしようとすると受付嬢が
「あ、すいません。真城さん、あなたのパーティーに新しくメンバーを加えるご予定はありますか?」
「新しいメンバーですか?」
「はい。新しいメンバーを加えたい場合、ボードにメンバー募集の貼り紙を出させているのです」
なるほどねー、たしかに今のメンバーではこれから大変かもしれないし、中距離型がいないしな。
サリナたちはどう思っているんだろうか。
「サリナ、ミイナ。お前たちはどう思う?」
「たしかに今のままじゃあいざって時に乗り越えられないかもしれないし、新しいメンバーは必要なんじゃない?」
「私もお姉ちゃんに賛成です。魔法にも限りがありますし」
「じゃあ、お願いしてもらっていいですか?」
「かしこまりました。では、明日から張り出させていただきます」
「ありがとうございます!」
お礼を言って、1階に降りる。
酒場の席に座る。
「さて、ごはん食べよ!」
「真城の奢りだしたくさん食べよう!」
「お姉ちゃん、あまり食べすぎないでね」
「大丈夫、大丈夫!しっかりセーブするから!すいませ〜ん!注文お願いしま〜す」
その日の食事で銀貨一枚。つまり基本報酬が消えたことは言うまでもない。
「お金が・・・」
食事を終わらせ、宿に向かって歩きながら俺は切実に嘆く。
「ま、真城さん。気持ちはわかりますからこれからはあまり無茶をしないでくださいね。じゃないとまた、お姉ちゃんに奢らされますよ」
ミイナが満足そうな顔をして歩くサリナの方を見ながら慰めてくる。
「は、はい。肝に銘じておきます」
しっかり覚えておかないと大変な事態になりかねないな。
そうしていると、宿が見えてきた。
「今日はこの宿で眠るか。じゃあ、それぞれチェックインしようか」
「今日は疲れたわね〜」
「本当です。早くベッドに入りたいです」
そして、俺達は各自にチェックインして部屋に向かう。
「あ、そうだ。明日俺はアナマス家の屋敷に行くんだけど一緒に行くか?」
「アナマス家の屋敷に行くの!?行くわ!」
「滅多に行けないので私も行きたいです」
サリナたちが顔を近づけ、目をキラキラさせて言ってくる。
「じ、じゃあ決まりだな。じゃあ明日の朝にロビーに集合な。おやすみ」
「分かったわ!おやすみ!」
「おやすみなさい」
それぞれ、部屋に入っていく。
俺も部屋に入り、ベッドにダイブする。
「今日は色んなことがあったなぁ」
一日で転生して、リーゼルさんと会って、サリナたちを助けて、パーティー組んで、クエストやって、怒られて、奢らされて。
本当に濃い一日だった。
明日はリーゼルさんに日本の話を聞かせるだけだから、そんなに疲れないだろう。
そんなことを考えながら俺は深い眠りに落ちていった。
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