第8話 ラッキーウルフ親玉との戦い

「大き過ぎだろ」

「おっきー!」

「大きいです!」


俺達は運悪く、ラッキーウルフの親玉に遭遇した。


ラッキーウルフ(親玉)はさっそく俺達を踏み潰そうと足を落としてくる。

俺達は後ろに飛び回避し、距離をとる。


「よし、ミイナ魔法を撃てるか!?」


「一応、撃てますが効果はあまり期待しないてください!」


「分かった!やってくれ!」


そう言い合うとミイナ魔法を撃つ構えになる。


「炎の神ザルビよ、我に力を与えよ!ファイアーボール!」


ミイナの足下に魔法陣が現れ、杖の先端から炎の玉が現れた。


「当たってください!」


杖をラッキーウルフに向けて振り、炎の玉を飛ばす。

炎の玉は一直線に飛んでいく。そして、ラッキーウルフに当たるがあまり威力はないのか相手はびくともしない。


「サリナ!一気に距離を詰めて攻撃する!初撃は任せた!」


「任されたよ!はぁぁッ!」


まず、サリナがラッキーウルフとの距離の詰め短剣の連撃を腹部に叩き込む。

遅れて、俺も距離を詰め、サリナに気を取られているラッキーウルフに双剣の連撃。

ラッキーウルフは一瞬怯むがすぐに立て直し、前足で攻撃してくる。サリナは避けたが俺は双剣で防御体制に移るがさすがに受け止めきれず飛ばされる。

何とか受け身をとり、立ち上がる。


「ミイナ!回復魔法は使えるか!?」


「はい!少し待ってください!」


ミイナが詠唱を始める。


「癒しの神ヒルデよ、我らに癒しを与えん。パーヒール!」


サリナと俺の周りが緑に光り、傷が治る。


「ありがとう!はぁッ!」


ミイナにお礼を言い、再びラッキーウルフに近づく。


「サリナ!一気に決めるぞ!」


「了解だよ!」


俺は首下に入り、首に剣を突き刺す。

サリナは腹部に短剣を刺す。

さすがに親玉でも力尽き、音を立てて倒れた。


「何とか倒したな」

「ほんと、最初はどうなるかと思ったよ」

「少し、怖かったです」


俺達は親玉の亡骸を眺めながらそう言い合った。


「さて、もう夕方だし剥ぎ取って帰るか!」


「そうですね。暗くなる前に帰りましょう」


ミイナと言い合い剥ぎ取りを始める。


「そういえば、この毛皮とかどうするんだ?」


「自分たちで持ち帰るかギルドに帰ったら買い取ってもらうかの二つだよ。ま、自分たちで持って帰って装備に付け加えたり、必要な人に買い取ってもらう方がいいんだけどね」


「へぇー、なるほど。なあなあ少し思ったんだが、何でそんなに詳しいんだ?始めてなのに」


「実はギルドに来る前に家で勉強してたりしてたの。ね、ミイナ」

「はい。ギルドに入ってからスムーズに生活したくて勉強してました」


「サリナたちは勉強熱心なんだな」


「まあねぇー」

「まあ、お姉ちゃんはあまり勉強してませんでしたが」


「こ、こらミイナ!そこは隠してなさいよ!」


慌ててサリナはミイナの口を塞ぐ。

何と微笑ましい風景なんだろうか。

目線を下げるとラッキーウルフの亡骸があるのは置いといて。


そうこうしているうちに、剥ぎ取りが終わっていた。

今回はラッキーウルフ討伐でも、親玉と戦ったため、一応ギルドに報告するそうだ。

この世界にはあらゆるモンスターの親玉がいて、それらと戦ったらギルドに報告し、情報料をもらうということらしい。


「よし、帰るか」


「さっと帰って、夜ご飯だぁー!」

「お姉ちゃんは食いしん坊です。まあ、無事に帰れると思いますしのんびり帰るとしましょう」


ミ、ミイナさん今、建ててはいけないフラグを建てた気が・・・


するとひょこっと目の前にスライムが現れた。


「「ひっ、ひやぁぁぁ!」」


サリナたちが走って逃げ始める。

なんでスライムで逃げ始めるんだろうか?

スライムって大体雑魚モンスターじゃん。そんなに怖いのか?


スライムをじっと眺めていると・・・

なんと身体にひっついて衣服を溶かし始めた!


「うわぁぁぁ!」


俺は近くにあった川に飛び込みスライムを剥がしてサリナたちの後を追いかけて逃げた。


後で溶かされた衣服の場所が悪くサリナとミイナに『変態!』と言われビンタを喰らった。


あのスライム絶対許さねぇ!

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