第6話 クエスト準備

初クエストは決まったが、


「武器がない」


「ないね〜」

「ないです」


そうだ。俺達には武器がない。

なぜって?当たり前だろ!異世界に急に飛ばされたんだから!

まあ、サリナとミイナが何故持ってないのは謎だが。


「武器と防具買ってから、クエストに行こう」


「そうと決まれば、まずは武器屋と防具屋に行きましょ」


「そうだな」


そう言って俺達はギルドを出る。


「来る途中、武器屋と防具屋を見つけたのでついて来てください」


そう言われ、ミイナに俺達はついて行く。ついて行きながらみんなの戦闘スタイルを考える。

サリナは防御力が高いらしいが女性に前衛でしかも、防衛だけに徹させるのはなぁ。

なら、猫人族は何が得意なんだろう。


「なあサリナ、猫人族って人族よりか特化した能力って無いのか?」


「あるよ、耳がいいとか高いことから飛び降りても怪我しないとか、跳躍力があるとか」


「そうか、ありがとう」


仕方ないサリナには前衛をやってもらうか。

理由は耳がいいのと跳躍力、防御力を活かし俺の前を先行してもらい、敵の偵察、攻撃を行う。つまり前衛兼偵察隊だ。


ミイナには、恐らく魔法使いである資質があるし猫人族でもあるため、サリナと共に偵察をやってもらおう。魔法ができるなら後衛で良さそうだ。

よって、ミイナは後衛兼偵察隊だな。


俺は、


「着きました!」


考えが途中で遮られる。

どうやら、武器屋兼防具屋に着いたようだ。まあ、俺の戦闘スタイルは武器と防具を選びながら考えればいいか。


「入りましょ!」


「そうだな」


そう言って俺達は中に入る。

武器屋兼防具屋の中には色んな武器や防具が飾られていた。


「いらっしゃい。何をお探しで?」


いかにも『鍛冶やってます!』って感じの人だった。まあ、声はそんな感じじゃあ無かったが。


「一応防具と武器をね。1万ユナイで全員分揃えれるか?」


「えっ。私達の分まで揃えてくれんの?」

「驚きです」


「まあ、お近づきの印的な?本当は女性にあげるのはアクセサリーとかの方がいいだろうけどな」


・・・おい、お前らなに顔を赤くして目をそらす。恥ずかしいのか?

べ、別にそういう訳じゃなくて!


「と、とにかく。店主さん、予算に合いそうなやつはあるかい?」


「ハッハッハ!あんた、けっこう好かれてんな!予算で合いそうなやつはあるぞ!」


この店主まで余計なことをッ!

意外とこっちも恥ずかしいんだからな!


「一応、1万出せるなら鉄装備は揃えれる。鉄の中から選んだ方が安全的にも攻撃的にもお得だな」


「そうか、じゃあ防具は鉄防具から選ぼう。武器はサリナは短剣か、片手剣。ミイナは槍か杖がいいだろう」


「どうして?」

「どうしてですか?」


さっそく、俺はさっき考えた役割のことをそれぞれに説明した。


「なるほどそういう事ね。わかったわ、じゃあ自分でその中から選ぶわ」

「同じくです」


「うん。鉄までの中から選べよ」


そう言い俺も、武器を選ぶ。

俺の戦闘スタイルは片手剣を二本持つ双剣スタイルで良いか。

なぜって?そりゃあカッコ良さそうじゃん。

攻防一体のスタイルだし。


俺は鉄の片手剣二本を迷わず選ぶ。

サリナは鉄の短剣、ミイナはスリッドロッドを選んだ。

鉄の短剣は前世で言うサバイバルナイフみたいで、スリッドロッドは特殊効果で同じパーティーの人たちの基本ステータスを少し上げるお得な杖だ。

ちなみに鉄の防具は俺とサリナが装備する。ミイナはローブを選んだ。


「毎度。全部で1万3000だが、今回だけ、1万で売ってやろう!」


「ありがとな!」


そう言って金貨を店主に差し出す。


「な〜に、またうちで買ってくれればいいさ」


どうやら、これからはこの店にお世話にならないといけなそうだ。


「それじゃまた来るよ」


「またのお越しを〜」


店を出て、町の出入り門まで歩く。

そうしていると。


「真城、ありがとね。私たちの装備まで買ってもらっちゃって」

「ありがとうございます」


ミイナとサリナが言う。


「さっきも言ったろ、お近づきの印的なものだって。まあ、またある程度貯まったら、本当のお近づきの印をあげるよ」


また、サリナとミイナが顔を赤くして下を向く。

あぁ!やっぱり、可愛い!でも、恥ずかしい!今、近くに穴があれば入りたいぜ!


そうしていると、目的の森の前に着いていた。


「よ、よし。ラッキーウルフの討伐頑張るか!」


恥ずかしいので、言葉を放ち気を紛らす。


「よ、よし頑張るよ〜!」

「が、頑張ります!」


何とも、恥ずかしい初クエストのスタートとなった。

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