通勤的②+暴力③(※暴力的です!しかも痛い系です)
第10話 金曜日
老師に出会ってから、私の人生は好転するばかりだ。
昔の私なんて、フナムシも同じだった。
ただの性欲のかたまりで、いわば性欲の強いフナムシだった。
家族は私をネグレクトした。
「ちゃんと見てくれないと私は育てないではないか!」
そう思いながら私は娘を殴った。
鼻血が出るまでリモコンで打った。
チャンネル変われ! チャンネル変われよ!
と真摯な気持ちで。
私は殴りながら泣いていた。ちょっと射精もした。
仕方がない。だって、そういう性分なのだから。
老師に会ったのは、私がちょうど、3回目の剥製作りに挑戦しているときだった。
私は一目で老師が気に入り。その後ろについて行った。
リモコンを握って。
私は老師をリモコンで殴らなかった。
老師はちゃんとチャンネルが合っていたからだ。
ワタシの幸せというチャンネル。
変えてもらったのはワタシのチャンネルだった。
その日、老師に変えて頂いたチャンネルのまま、帰宅した。
まず玄関で妻をハグした。
つづいて、浴室の娘。
そして解剖台の上のポチ。
残念ながら剥製作りのために摘出した、ポチの中身はディスポーザーの中だったからハグできなかったけど、代わりに浴びた。
ポチを浴びてから、ワタシは妻とまぐわった。
昔から性欲だけは全然変わらない。
その日から全てが変わった。
毎朝妻はワタシの体を求めてくるようになり、ワタシは断って、毎日違う近所の人とまぐわった。
ワタシは道で、道を説いた。
つまらない悪漢は戸板に括り付けて、大海に流した。
産業廃棄物に塗れ、悪漢は涙を流していた。きっと遠くに行くんだぞ。見届けてこいよ、世界を。と思ってワタシはそれ以来その男の記憶を永久にデリートした……ん、あ? あっかん? っだれだっけ。
娘だけがワタシに抵抗した。
思えば小学生2年生のときにペスを剥製にしてからずっとこうだ。
そのとき、娘は嘔吐し、それから何年もその時期になったら、律儀に吐くようだ。義務教育中だったことと何か関係あるのだろうか?
それ以来、ワタシは娘を「吐く性(はくせい)」だと考えている。
いつか解剖してみたい。中には子犬が詰まっているような気がしてならない。
かように最高だった私の人生は、ある日を境に急転した。
そのきっかけはやはり老師だった。
第11話 金曜日
壮絶な拷問だった。
毎晩肛門の中に檜で作られた三角錐を突っ込まれた。
ばばんば、ばんばんばん。
65度のお湯が耳の中に注ぎ込まれる。
昨日は片耳、今日も片耳、
もはやおれは右も左も上も下も分からない。
ものすごくニュートラルな人になっていた。
おれが●した奥さん連中が次々と死体となってスライドに映し出される。
正直におれは勃起してしまうが、
おれの生殖器は3分の2くらい大根用の卸し金で擦り下ろされているから、その勃起は幻肢痛にも似たファントム勃起だ。
おれは、革命を夢見た。
今この状況に置いての革命、それは全き普通の状態を意味する。
つまりは、歩いたり、座ったり、食べたり、あくびをしたりする状態がそれだ。
おれの志は限りなく低く、ただフラットを求めていた。
全ては老師の卸し金、いや、差し金だった。
卸し金には油性マジックで、老師の名前が書いてあったのだ。
私は真剣に願った。
しょんべんがしたいと。
股を濡らさずに、
爛れた股の肉片を傷めずに、真っ直ぐに空中に尿意と尿を解き放ちたいと。
「腐ったちまきめ!
自分の皮に自分の内臓を包みやがって、なんていやらしいんだ。」
スピーカーから何かを罵倒する声が聞こえる。その何かとは私のことだろうか。
私はちまきではない。私はどこまでも私なのに。
私は一旦ちまきだということにされた上、ちまきとして罵倒される。
複雑すぎてなにがなんだかわからない。
「腐った卵白、いやらしい! 卵白だけで生殖するがいい。己の殻のなかに、いっぱい自分うんこをして! それを食べて、食べて、食べて。
腐った自分雛として産まれるがいい。
本来自分腕になる自分うんこを食べ、本来自分足となるうんこを食べ! そしてずるずると自分太陽の下までまかり出て、自分浴をしろ。それらは全部糞だ。それがお前の来世のアフター5だ!」
老師に出会ったことでこのように急転落した私の人生であったが、
まさか、私の人生における最高の時がもうすぐやってくるとはこのとき私は思いもしなかった。
それも老師のおかげで!
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