通勤的①

1話 月曜日


通勤電車の中で生まれた少年は次の駅に着くまでに小説を書き終えなければならない。

だけどさ、彼には一駅分の人生しかないから。

ロクな小説なんか書けやしない。

ただあるのは何かを書きたいという気持ちと、何かになれるんじゃないかという期待。


少年は駅に着くたび、係員の手によって銃殺される。

何かを掴もうとした瞬間に、ショットガンの銃口が彼のこめかみに突きつけられるのだ。

まだ吊革に捕まることも知らない少年たちは、反対車線に乗っている、万年筆を握った少女たちのことを知らない。


帰宅。













※大学を出て、3ヶ月だけ勤めてた会社に、通勤するまでの2、30分間に、その時間で書きうる散文的な、詩とも小説ともつかぬ文章を書いていました、

この習慣はゆるゆるとですが、電車で通勤している間続きました。


変わらない日々に、異世界を創っていくこと。

毎日に、塵のようなものでも、昨日はなかった物語のような、名づけることもできないような、種みたいなものでもいいから、この世界に姿を現してくれること。


しかしなんということでしょう。勤めはじめて1ヶ月後くらいに自転車通学になり、あっというまにその習慣は途切れてしまったのです……!


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