戯曲的②+暴力②(性的暴力的描写多い。あと、ひどい。)
(字幕)三十人の大臣がいる。彼らは皆戦争大臣だ。三十人が殺し合う。ねぇ、まだ俺たちに出来るかな? この世界を破壊することがさ。
小さな家に家族が住む。家族はテレビを見ている。
ママ お父さんのエサを替えないと、最近発情してうざいのよ。
娘 ねぇ、まま、去勢の季節よ、早くちょん切りましょうよ。
ママ 駄目よ、ママにだって性欲はあるんだから。
弟 この野郎。男の純情を何だと思ってんだ。こっちに来い、お前をレイプしてやる。
娘 まぁなんてこと。あたしたち人間なのよ、近親相姦なんていけないことだわ。
弟 いいんだよ、純情だから。テレビをつけてみろよ。奇形児ばっかじゃないか。芸能人は皆近親相姦しているんだよ。世の皇族とか王様とか大臣とかは皆近親相姦なんだよ。
娘 何を言ってるの? 王様がいたのなんて、昔のことだわ。民主主義の世の中よ?
弟 そうか、お前って馬鹿なんだな。
メザマシの音、パンクロック? どかどかどかどかずんずんずん。
娘 まぁなんてクラシカルな音楽。
弟 おれ、クラシックは嫌いなんだよな。穏やかすぎてさ。
チャンネルを変える。銃声を100倍にして、擂り粉木で骨がはみ出るまで全身を削り散らかされるような音。拷問、悲鳴。舞台に血しぶきが垂れてくる。
弟 ママ、何つっ立ってんの? 早くセリフを言えよ。お得意のさ。
ママ あ、そうだわ、さあ皆、買い物の時間よ。支えましょうよね、もうこの国をね。断乎。
娘 ママったら全くお買い物中毒なんだから。
全員 資本主義社会万歳!
朗らか。金をバラまく。
兄 ぎゃーーーーー!
全身が襤褸切れで、頭脳に電極が突き刺さり、大きなねじが飛び出している、兄が出てくる。出てきて、そのまま、落ちて死ぬ。
娘 お兄さんが一人死んだわ。
弟 またどっかで拾ってくればいいよ。あれじゃん、この辺に芸大とかなかった? そこらの穀潰しどもは金に目がないから、適当に連れてきてねじ巻いちゃえよ。(手を叩く)
芸大生現わる。一目でソレとわかるナリをしている。
弟 ほらよ、この骨やるからさ、やってくれよ、なんだっけ? 演劇だっけ? 演劇って奴をよ。
芸大生 ははぁ。おありがとうございまーす。演劇やりまーす。
テロップ「素晴らしいドラマ」
芸大生 おーい。女芸大生ーっ。
妹が女芸大生に扮して現われる。一目でソレとわかる……
女芸大 繊細。
芸大生 僕ら、
女芸大 情熱。
芸大生 夢。
女芸大 リアリズム。
男(もうめんどくさい) あ、
女 なに?
男 いや、
女 そう。
男 つめがのびたね。
女 そうね。
男 髪も伸びたね。
女 そうね。
男 結婚しようか。
女 そうね。
男 ぼく、本当は、
女 そうね。
男 ごめんね、隠してて。
女 そうね。
男、泣く。
男 優しさ。
女 そうね。
男 ねぇ。
女 そうね。
男 明日この町は爆撃されるんだって。
女 そうね。
男 逃げよう。
女 そうね。
男 最後のときまでここにいよう。
女 そうね。
男 君はどうしたい?
女 そうね。
男 ぼくは君を尊重するよ。
女 そうね。
男 ねぇ、ぼくたち、支配されてるよね。
女 そうね。
男 ねぇ、おれは役者なんだよ。
女 そうね。
男 無学なんだ。
女 そうね。
男 でも愛は知ってる。
女 そうね。
男 愛はセックスさ。
女 そうね。
男 君のセリフが、僕にはわかる。
女 そうね。
男 君の心はさっきから悲鳴を上げてるぜ。
女 そうね。
男 なーんてね。
女 そうね。
男 そんな君が好き。
知らない間に人々が集まり芝居に見入っている。
男は女の手をとり、ゆっくりと、掲げる。
男 チャンピオンベルトは君にあげる。
取り囲んだ人たちは拍手しながら、蹴り殺す。じつにテンポよく。
クラシックでも流れる。
弟は、死んだ役者の身体を、操って芝居の続きをする。
弟 僕ら、無害な役者だから。セックスしよう。へへへ、セックス。
女 間接なら近親相姦にならないね。
弟 セックスを自分でやるなんて時代遅れだよ。
女、弟の頭を鈍器で殴る。
女 そうね。
弟 (血を流しながら、崩れ落ちる)ママ、なに置物になってるのさ? あんた、鈍器みたいだぜ?
ママ ねぇ、お父さんのエサを替えないと。性欲が大変なことになっているわ。
娘 心はさっきから悲鳴を上げてる。
弟 こいつ、芝居にハマって、ハメラレちまってんだ。
娘 お前は馬鹿だ。
弟 お前に言われたくないなぁー。
ママ ママは置物よ。
娘 セリフの意味があたしにはわかる。
パパ あおーーーん。
娘 あたしたちは支配されてるのよ。
兄2 ぎゃーーーーー。
兄2が出てくる、全身を釘で貫かれている。首が半分もがれて垂れ下がっている。落ちて死ぬ。その瞬間猛烈にカッコいいロック(この世界ではクラシック)。弟、血塗れのまま、ゆっくり起き上がる。
弟 芸大生を連れて来い。奴らに芝居をさせよう、とびきりピースフルな奴をさ。例えばこんな芝居。100年前のクラシックさ!
弟 俺たちは無害な役者だ!
俺たちを哀れんでくれ!
皆が銃を持って、弟を取り囲む。
弟 あれ、これ、クライマックス? 暗いぞーみんな? どうしたー?(めげずに)はい! 泣きまーす。(泣く)はい! 笑いまーす。(笑う、弟の周りにいる役者たちもテレビを見て、同じ顔する感覚で、感情をトレースする感じで真似してもいいけど、それはもはや演出の管轄でせう。)
弟 僕らは哀れな役者だ。俺たちを無害にしてくれ!
はい……怖がりまーす。(怖がる)こわーい。……笑いまーす。暗い時代だけど、なんとかやっていけるさ。(笑ふ)僕らは無害な役者だ、哀れんでくれ。
父 父親、起きて、ひとりずつ殴り殺す。それが役割だから。
父 ハッピーエンド! ハッピーになれ。
全員 僕らは無害な役者だ。哀れんでくれ(リフレイン)
父親、声が止むまで、執拗に殴り殺す。
父 ハッピーエンド。(殴る)ハッピーになれ。(殴る)俺は職人(殴る)、ハッピー職人(殴る)。職人不器用だから(殴る)、言葉とか使いませーん(殴る)性欲!(殴る)暴力!(殴る)じゃ、死にまーす。(殴る)僕らは無害な役者だ、どうか、僕らを哀れんでくれ。(死ぬ)ハッピー。
そこには死しかない。
いま 世界が終わります
ました。
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