第4話
その日の夜。私の胸の高ぶりは、未だに収まることを知らなかった。
帰りに、また明日この場所に来てくれないかと、2人に聞いてみた。
彼らは、笑顔で承諾してくれた。
私は、明日までに新たな曲を書くことにした。
私が歌いたい歌じゃない。私が弾きたい歌じゃない。
彼らに歌って欲しい歌を書いた。
rainが歌う、甘い恋愛ソングじゃない、彼らが歌う、爽やかな青春の歌。
夢中で書いていた。気づいた時には、外は明るくなっていた。時計を見れば、学校へ行く支度をしなければいけない時間だった。
鏡を見れば、酷いクマが目の下にできていた。
やってしまった。
仕方ない、授業中に寝よう。
そう心に決めて、支度をし、できたばかりの曲が入ったノートパソコンと楽譜を持って家を出た。
教室について、自分の席に座る。未だに、席替えはしておらず、出席番号のままだ。
「浅葱」で「あ」のため、大体新学期は一番前なのだが、この高校は男子の名前の順の次に女子がくるらしく、私は一番前の席と出席番号1番という、なにかと損する番号を抜け出すことに成功した。
しかも、前の席は背の高い男子のため、先生の目を気にせず眠りについた。
放課後よ、早く来い。
2人に私がrainだということを言ってしまおうか。そして、早いかもしれないけど、一緒に活動してくれないか頼んでみよう。
こういう時は、変に遠慮すると損をするだけだ。今まで、後悔だらけだった。だから、ここは後悔したくないと思った。
お父さんとお母さんと、音楽を全力でやると約束したから。
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