第2話~文房具店~

「おばちゃんいる?」奈緒子は大きな声で叫ぶ。すると店の奥からお婆さんが出てきた。

 「いらっしゃい。なおちゃんのボーイフレンドさんかい?」とニヤニヤしながら話しかけてきた。

 「い、いえ、あ、あの中学の制服を注文したくて…」僕はなぜか動揺しながら目的を告げた。ふと奈緒子に目を向けると奈緒子も顔を赤らめて下を向いていた。


 制服の注文締め切りが今日の午前までだったのでギリギリ間に合った。奈緒子に感謝の意味も込めてチョコレート菓子を買ってあげると奈緒子はクスクスと笑い「本当に豊って昔とちーっとも変わってないんだね!」と言った。どこか奈緒子の表情が嬉しそうに見えた。


「昔から私が泣いても怒っても、いつもこのお菓子だったよね…」今度は少し寂しそうな顔をする。



「おかえり豊…」今度は泣きそうな笑顔で僕を迎えてくれた。

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