ラストに

ぽむら

第1話






 中学校って特に嫌な時期。

 義務教育だから仕方なく行くけど、別に好きじゃない。行かなくていいのなら即答するだろう。行きたくないと。

 まぁ、それが無理だから仕方なく行くのだ。 中学生になれば、気楽に生きてきた私でも悩む時期なのだ。現在、私は人生でこれくらい悩むのかというくらい悩んでいる。


 一般的よりは内気で暗い、現代的な言い方をすれば「病み期」の私、

「戸田 心(とだ こころ)」は宣戦布告とやらをしようか。あいつらに。






「あいつら」というのも、1年前までは仲が良かった友達、「伊藤 歩夢(いとう あゆむ)」「西原 虎汰郎(さいばら こたろう)」「中嶋 昂平(なかじま こうへい)」の3人、それから、メンヘラ女子「麦野 祐菜(むぎの ゆな)」の4人だ。私は今年中にあいつらを潰す。



 歩夢と虎汰郎、昂平は小学生6年目の時の親友だった。3人と私、合わせて4人は祐菜を''オモチャ''として遊んでやった。まぁ、オモチャといったって陰で愚痴ったり、陰であだ名を決めて笑ったり、ほとんどが陰での行いだ。


「あいつ馬鹿じゃねぇの?」

「馬鹿なんだろうな」

「マジで笑うんだけど」

「あれは笑うわ」


 こんなもんだ。時々、本人に聞こえるように言ったり、嫌がらせをしたくらいだ。それが1年は余裕で続いた。クラスの中心だった私達はクラス1仲が良かった。特に歩夢とは。

 歩夢は何か違う。不思議なのだ。何を考えているのかわからないようなやつだった。そんな歩夢を好きだった。仲が良かった1年前までは。歩夢とはたぶん、いわゆる「両想い」だった。たぶんだから、ただの私の自意識過剰なだけかもしれない。だが、私はそれを信じたかった。


 過去の話はとりあえずこれくらいにしておこうか。

 今の現実は正反対だ。以前の祐菜の立場に私はいる。祐菜は3人と仲が良くなった。なぜかは知らない。興味すら湧かない。

 ただ1ついえるのは、祐菜の罠だろう。過去には嫌っていたやつだが、中学生になった時に、少し優しくしてやったのだが、祐菜は何を考えているのかわからないが私に懐いた。


 まだ5月までは良かったのだ。1年のビッグイベントとも言える校外学習があった。 歩夢、虎汰郎、昂平、私は同じ班だった。他にも何人かメンバーはいたが覚えていない。校外学習で仲は深まっていた。確実に。


 6月。懐いた祐菜が私に声をかけてきた。

「ねぇ、心ちゃん。心ちゃんは西原くんのことどう思ってる?」

「どうって?」

「西原くんのこと好きなの?」

 友達としてはもちろん好きだった。恋愛感情としては好きじゃなかった。当然、歩夢が好きなんだから、嘘でも好きとは言えない。友達としてか、恋愛感情として、どちらかはわからなかったから適当に流そうとした。

「恋愛てきには好きじゃない。」

「へー。」

 祐菜は興味無さそうだった。本当はどうか知らないが。

 好きじゃないと言った時だった。アニメか漫画にあるような絶妙なタイミングで虎汰郎に聞かれた。虎汰郎はキレた。どこか寂しそうな顔だった。

 虎汰郎は私に言った。

「俺もお前なんか嫌いだわ」

 って言いながら。逃げるように言いながら去っていった。


「心ちゃんっ… 祐菜は心ちゃんのこと好きだよ…?信じてっ…」

「…」

 私は俯いてたから祐菜がどんな表情で言ったのかわからない。その言葉は嘘なんだろう。それくらいはわかる。


 その日から変わった。

 誰の人生かわからないくらい激変した。朝、教室に入ったら妙な静けさが降りかかるような。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ラストに ぽむら @pineapplepen

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ