◆ミドル4◆ 嘘吐き

シシリー:「どこ行ってたの?」アサルトライフルを構えて、パトカーの前で仁王立ちしてます。

GM:怖いよぅ!

時吉:「方角を見失っちまってな」

シシリー:「《空間歪曲あなた》に限ってそれはないわ。で、どこへ行っていたの?」

時吉:「空間転移を繰り返して方角を見」

シシリー:「質問を変えましょう、保護するように命令していた対象は?」

時吉:「数え間違いだよ。リザードが残っていただけだ」

シシリー:「じゃあこれは何?」バンッと自分の手のひらをパトカーに叩きつけます。黒い車体にくっきりと白い手形が付きます。

時吉:…………ッ!

シシリー:「白い血って、珍しいわよねえ?」

時吉:「さあて俺には何のことだかわからんな」

シシリー:「後で見つかった方がひどい騒ぎになるのにね」彼がいない間に捜索していたけれど、他に敵性生物はいましたか?

GM:いませんね。あなた方が交戦した20体と、中村羊夏と名乗った少女の傍らで死んでいた20体、計40体が報告を受けていたものと一致します。

シシリー:「誰のなのかしらねえ? リザードの横に落ちていた白い血痕」

時吉:「俺は知らんな」

シシリー:「報告会に上げるから覚悟しておきなさい」

時吉:「見ていないものをどう報告しようっていうんだ」

シシリー:「へえ、そう。ふうん……そう。じゃ、帰りましょうか」アサルトライフルをケースに戻し、車に積んでいた雑巾か何かで白い血も拭き取るよ。時代的に、DNA鑑定技術はまだないんだよね。

時吉:鑑定したところで過去にサンプルが取られてなけりゃあ意味がない。

シシリー:ま、一応ね。

時吉:「……なあ。ここには何かあるのか? なんだかネフィリムも頻出しているようだしな」

シシリー:「それを調べるには近くの警察署に寄らないといけないわね」

時吉:「しっかし、よくよく考えてみりゃあお前さんの命令で動いているんだけどなあ。不思議なもんだな」ぼそっと言ってみるよ。

シシリー:「何が言いたいの?」

時吉:「お前さん、確か警部補だったよなあ? 俺は警視なんだがなあ」

シシリー:「気のせいじゃない?」

時吉:「いや? 時吉警視だぜ俺は」

シシリー:「気のせいでしょう。だって、そんな人間はんでしょ?」

時吉:「だから警視なんだよなあ」

GM:殉職による2階級昇進。

時吉:そう。だから警視なんだよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る