◆オープニング◆ 葉桜の夜に

GM:オープニングです。時刻は夜中手前、いつものようにネフィリムが発生したとの要請を受けて出動するシーンです。普段どんな風に過ごしていますか?

時吉:逆に訊くけど、普段どんな風に過ごさせられているんですか?

シシリー:イメージでは二重の重たい扉と鉄格子の向こう側に、プライベートスペースがある感じかな。

GM:完全に刑務所ですね。

シシリー:そうそう。刑務所なんだけど、中は一般的なワンルームみたいな構造。ユニットバス付の。

時吉:そういった状況なら、適当に本を読んだりして過ごしているかな。後は申請してトレーニングルームを使ったり。

GM:では、出動要請はまずシシリーさんの方に入りますね。

シシリー:周囲の同僚に告げてから、地下のオーダー収容施設に降りていきます。施設に入る手前のロッカールームで、監視官用のジャケットに着替えます。武器の入ったジュラルミンケースを手に持ってからボタンキーを押して二つの扉を開けて中に入り、施設管理をしている当番の警察官に「時吉を呼べ」と。……多分呼び捨てだよね?

時吉:うん、呼び捨てだろうね。

シシリー:「ネフィリムが出たわ。行きましょう」

時吉:読んでいた本をバタンと閉じて、「やあ、おはようシシリー。気分はどうだい?」

シシリー:「早く行きましょう。話している暇はないわ」

時吉:「……ちょっと真似してみたんだけどなあ」

シシリー:「何? また映画でも見たの?」

時吉:「ちょっと古い映画だよ。ここに閉じ込められているとレクター博士の気持ちがよくわかる」

シシリー:「そんなにイケメンじゃないじゃない」

時吉:「お前みたいなのでも訪ねてきてくれると嬉しいというものさ……ジュリア・ロバーツならもっと嬉しいがね」

シシリー:その言葉には返さずに、そのまままっすぐ歩いて外へ出ていきます。普通のよりは装甲の高いパトカーに乗り込む。運転は自分でするわ。

時吉:こちらは外に出たらサングラスをかけるよ。

GM:夜ですよ?

時吉:「隠せ」って言われているんだ。スペックカラーが瞳に出ているから。大丈夫、内側からの視認性に支障はないタイプの、軽いサングラスだよ。

GM:移動中の車内で、無線にて任務の説明を受けます。郊外のゴーストタウンにネフィリムが現れた。数はおよそ40程度。一組のバディで相手するには数が多いが、今動けるのはキミ達しかいない、と。

時吉:「ちょいと数が多すぎねえか」

シシリー:「と言われても、あたしたちが行かなかったら誰が行くっていうの?」

時吉:「人材不足はわかっているんだが、俺は戦闘はあんまり得意じゃないんだ」

シシリー:「そんなこと言って、守らなきゃいけないものがあるんでしょ? 聞いたわよ、中学生になったんですってね」

時吉:「…………そうなのか?」

シシリー:「あなたが元いた部署、一課の課長が教えてくれたわ。はい」写真じゃなくて、写真をカラーコピーした紙を渡します。写っているのは学校の校門前に、「入学式」と筆で書かれた立て看板、青いダッサいセーラー服に着られる感じで女の子が一人。

時吉:それを見て、「まだ引っ越してねえのか」とぼそりつぶやく。殉職前に住んでた地域の公立中学の制服だから。んで、「ありがとよ」って言うよ。

シシリー:「一課長が気にしていたわ。渡しといてって言われたの。私が気を回したわけじゃないから」

時吉:「まあ、あいつぐらいは知ってるからな」

GM:なら季節は春ですかね。春にしては少し肌寒い夜。車を走らせていると、どんどん人気がなくなっていって、廃墟とまではいかないまでも閑散としているビル街を進む。

シシリー:もう人がいないなら、この辺りでサイレンは切っておくわ。

時吉:「ネフィリムの具体的な能力についてはまだ判明していないのか」

シシリー:「じゃないかしら。続報が入っていないもの」

時吉:「連絡を入れたやつもってことか」

シシリー:とりあえず指示されたエリアで車を停めるね。

GM:では、その付近で、報告されていた数より少ないけれども、リザード(トカゲに似た体長1~2mのネフィリム)の群れが闊歩しています。

シシリー:状況報告を無線で飛ばしておいてから降ります。

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