第2章 7

「悪かったな無理矢理引っ張ったりして」


階段のぼり終えた後直ぐに深々と頭を下げる滝


「いやそんな…とりあえず私の部屋に入ろ?

ちょっと散らかってるけど…」


そう言って真妃は自分の部屋に滝をはめた



「小山…今は何も聞かずに側に居てくれるか?」



「…うんいいよ (ポンポン)どうぞ」


戸惑いながらもベットに

クッションを置き手招きする真妃



「…ごめん」


そう言って倒れ込むようにクッションに埋もれた


真妃はクッション一つ分ぐらい

離れて座り何も言わず滝の頭をなでた



「…あり…がと…う…」


ぽっりと呟いて眠ってしまった滝



「クス 滝君って本当可愛い所あるよね」


ギャプがいいって思って少しドキドキしてる真妃



30分近くたったその間ずっと頭なでてた真妃



「…ぅん? (パチクリ ガバッ)えっ? えっ?」


焦りだす滝



「あ。起きた? 滝君倒れ込むように眠るから…」



「悪かった…どれくらい眠ってたんだ?」



「30分くらいだよ…」


[もう少し眠ってて欲しかったなぁ…(心の声)]



「そうか…悪かった…」


ぶがわるそうな滝



「気にしないで 滝君は

私にとってお兄さん的

存在だからさ」


ニッコリしながら言う真妃



「[ウッ可愛いかも…(心の声)]

…史也と俺どっちがいい?」


ぽっりと呟いた滝


「えっ?」


「はっ!? わりぃ何でもない…」


何言ってるんだ俺 って

ブツブツいいながら真妃の部屋出て

玄関に向かう滝


「…滝君の方が…って何言ってるんだろ私…」


赤面しながらベットに埋もれた真妃


「どうした? 顔真っ赤だけど?」


「えっ…そうか?」


余計に恥ずかしくなり

慌てて出ようとしたら…



「…女の子にふられたからって

真妃に泣きつくなよ…」


怖い顔で言う敦巳


滝は無言で帰って行った


この日を境に滝は小山家には来なくなった


それから一週間近く過ぎもう少しで新学期

新学期始まる前に皆で大会でもらった

賞品で旅行に出かけた


旅行から帰ってきて3日間後には

新学期が始まりもう

卒業の季節がやって来ます


新学期も始まりいつも通りの

日常生活が過ぎて行き

気がつけばもう

卒業式の1日前になっていた


「いよいよ明日で卒業だねお兄ちゃん…」


ちょっと寂しそうな表情の真妃


「そうだなでもあんまり

実感ないんだよな

もう明日なのにな…」


「クスクス そういや滝君、

家に来てくれなくなったよね…

何か寂しい…」


シュンとなる真妃


「そういやそうだな、前は頻繁に来てたのにな」


「何かつまらないよ…」


「そんなに言うなら会いに行けば?」


いつもみたいな雰囲気はなく妹離れか?


「うーんそうだね フフン」


ルンルン気分になり準備を始めた真妃


史也は少し複雑な気分になった

(やっぱりまだ妹離れは無理そうだな)


「さぁて行ってきます」


準備ができ滝の家に

行こうとして扉を開けたら…


「よっ」


チャイムならそうとしてた滝が立っていた


「にゃ~」


ガバッ


「うわぁ~?!」


ドサッ


「イテテ…いきなり何なんだよ小山」


「エヘヘ ごめんなさい 嬉しくってつい」


「だからっていきなり飛びつくなよな小山」


そんな二人を複雑な心境で見ている史也


「あ。そうだ史也ちょっといいか?」


「あぁ」


二人は真妃を放置して近くの公園に向かった


「史也…俺…」


口ごもる滝


「タキ…水城にふられたのか?」


「えっ…知ってたのか?」


「いや…そんな気がしただけだ」


「そっか…俺な… ウザイ

って言われてひっぱたかれた…

あげく"史也の方がまだマシ"

って言われてたよ…」


ガックシとしながら俯く滝


「アイツ(水城)が言ったのか?」


かなり驚く史也


「うっ…うん」


「そうなんだ…意外だな…」


ありえないって思ってる史也


「意外なのか? 史也は

モテるし普通でないのか?」


「あぁ だってアイツ(水城)

" 校内の男子なんてガキばっか"

って言ってたくらいだぜ?」


「へぇ~そうなんだ」


少し水城に対する感情が薄れてきたみたいだ



「大分吹っ切れたみたいだな タキ」



「あぁ……そう言えば明日で史也

卒業だよな? 卒業したら

彼女の店で働きながら

高校通うらしいな」


「情報が早いな その通りだよ」


「俺の姉が史也の彼女さんに

ノロケ聞かされたって

ぼやいてたからさ…」



「そうなんだ…」


なんだか照れくさい気分になった史也



「さぁて俺も頑張るかないろいろと」



「お前はもう少し勉強頑張れよな」


嫌みっぽく言う史也



「うるさい 真面目にやれば

成績はいいんだよ…」



「ハイハイ…あ。それと

生徒会の時は真妃をよろしくな」


「おぅ任しとけ」


そしてふたりは帰って行った


次の日(卒業式当日)



「お兄ちゃん 卒業おめでとう 高校とお仕事両方無理せずガンバてね…」


今にも泣き出しそうな声の真妃



「おぅ 頑張ってくるよ(ニコっ)約束ちゃんと守れよ? 守ったら俺もちゃんと守るからな?」



ニコっと微笑みながら言う史也



「うん ちゃんと守る(ニコっ)あ。滝君だ!」



そう言って滝の方に走ってく真妃



「…俺よりタキがいいのか…」


寂しそうに呟いてその場を去る史也



「ねぇ…滝君…今日暇だったりするかな?」


モジモジしながら言う真妃



「ん? あぁ暇だけど」



「ちょっと買い物に付き合って欲しいんだ…」



「あぁ構わないよ 俺も小山と話したいと思ってたから…」


頭をポリポリしながら言う滝



「嬉しい じゃまた後でね」



そしてふたりは一端別れた


卒業式が始まった



「卒業証書授与

代表 中村里江」


「ハイ」





「送辞 卒業生代表 小山史也」


「ハイ」



「―――三年生間お世話になりました――― 卒業生代表 小山史也 」






式もいよいよ終盤で校歌を歌い先生の言葉で締めくくられる



「―以上を持ちまして卒業証書授与式を――」


卒業式も終わり一端教室に生徒は戻り帰り支度をして帰る者は帰りまだもう少し余韻に浸る者は残っていた



史也は帰ろうとしたが…


「あの小山センパイ…」


「あ。ズルい」



「はぁ…」



告白ラッシュ(?)にあってしまった史也


その頃真妃は教室でグッテェ~としながら



「はぁ…どうせ今頃お兄ちゃんはグッタリなんだろな…」



「モテるもんね史也さん」



「うん カッコイイし頭もいいなおかつ性格よしのパーフェクトだからなぁ」


目をキラキラさせながら言う真妃


美子は何も言えなくなってます



「あの…さん…小山さん?」


クラスの女の子が話しかけてきた



「…ちょっと真妃(ユサユサ)」


気付いてない真妃を揺さぶりながら言う美子



「…何? 美子」


ちょっとムスっとする真妃



「"何?"じゃないあんた(真妃)が呼ばれてるのに気付いてないからでしょう」


まったくもう と思ってる美子



「あの…小山さん…」


恐る恐る声をかける女の子



「えっ…あ、はい ごめん何かな?」



「えっと…滝先輩が呼んでますよ…」


か細い声で用件をのべる女の子



「滝君が…わかったありがとうね」


女の子はペコリとしてそそくさと友達と帰って行った

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