第7話

さっきまで気まずい空気だったのだが更に何とも言えない空気になっていた


真妃はルンルン気分になっていたが敦巳は複雑な気持ちだったからだ



「あっくん、ちょっと出かけて来るからお留守番よろしくね」


ニコニコしながら言う真妃



「あぁ…[よくあの会話から何事もなかったような顔してしかもルンルンになれるよな? 流石真妃姉だな…(心の声)]」


天然は凄いな と密かに感心している敦巳


真妃は出かけて行った

出かけた途中美子にパッタリ会い近くの公園で少し話す事にした



「美子ありがとうね晴野君に聞いてくれて 助かったよ本当に」


嬉しそうな真妃



「そんくらいおやすいご用さ」


ニコニコしながら言う美子



「にゃ~…う~ん…あ――――!? 思い出した」


幸せに浸っていたかと思えば急に叫ぶ真妃

美子は目が点になってます



「あ。ごめんつい…急に思い出したからさ

后(ゴウ)君のウワサをね」


后とは真妃の好為を寄せてる相手


「あ!! 私も思い出した。あんた(真妃)達

兄妹並みに実は有名なのよね」



真妃達 兄妹並みってことは…


「えっ…私ってそんなに有名だったの? お兄ちゃんはかっこいいからわかるけど…」


どうやら自覚していないみたいだ



「…うん 后君はシスコンで真妃はブラコンか似た者同士ね」


少し呆れたが 他人の恋愛は面白くてたまらないのでニヤニヤしている



「うにゃ~なんか照れる」



[何故照れる?]と心の中で思う美子



その後二人は少し世間話をし別れ真妃は夕飯の買い出しに行った



その頃慌ただしく出かけて行った史也は…



「…后はやればちゃんと出来る子だったんだな」


感心している史也



「うるさい 俺は学年トップになるべく頑張ってるんだ」


ブツブツ言ってる后


二人は勉強の真っ最中



「ハイ ハイ しかし、いつになく張り切ってるんだ?」


毎回、学年で15位くらいなのにまた何故だろうと思ってる史也



「好きな子が…毎回学年トップでさ…好きな子より順位低いのは何か嫌だし…」


プライドの高い后



「ふ~ん…ん? そういえば、お前(后)って確か真妃と同じクラスだったよな?」


「そうですけど? …あ。小山さんって史也さんの妹だったんですか?!」


真妃の好きなのが后で后の好きな子は真妃だとすると二人は両思いだな


少しイラっとする史也

史也と真妃が兄妹だと知り驚く后

真妃と史也が兄妹なのは有名なのに知らなかったみたいだ珍しい奴だな


「あぁそうだけど…」


まさかなぁ…と思う史也



「あ。そうだ 小山さんのお兄さん何でしょう? なら小山さんの事教えてくれませんか? 史也お兄さん…」


[えっ? 今何て…史也お兄さんって言わなかったか…]



「お~い 史也さん?」


不思議がる后

とりあえず史也を揺すってみる后


ユサユサ



「うわぁ~何だ?」


我にかえる史也



「"何だ?"じゃないスよ? 急に険しい顔して黙り込むんし(ブツブツ)小山さんのお兄さんだから教えて欲しいと言っただけなのに…」


ブツブツ言う后



[何だ聞き間違いか(心の声)]「うーん…そうだな 真妃の事いろいろ教えてやってもいいが…」


聞き間違いだったと気づきホッとする史也だが…



「マジで!?」


目が輝く后



「あぁただし俺の作る小テストで全問正解したら教えてやる」


ニヤリと何か企んでる目をしている



「おぅ。やってやる」


かなりのやる気を見せる后


こうして片や絶対正解してやると意気込む者と片や教える気ゼロで難問にしてやると考えている者


互いに燃えていた


脱線しつつその後また真面目に勉強をした


<場所は変わり小山家>



真妃は買い出しから帰ってから敦巳と一緒に晩御飯の準備をしていた


今日の夕飯の献立は 焼き魚 納豆 佃煮 味噌汁 ライス


史也の好きな和食の献立



「なぁ…真妃姉…」



「なっ…何?」


姉弟だから姉である真妃を呼び捨てにするのもなんだしな と言うことで

敦巳は真妃の事を"真妃姉"と呼ぶようにしようと言うことにしたがいつも いつも "真妃"って呼ばれていたので違和感があるみたいだ



「さっきから何でオドオドしてるのさ?」


呆れている敦巳



「だって…



ガチャ



〔ただいま〕



タイミングよく史也が帰ってきた



「なんだこの何とも言えない空気…」


リビングに入るなり複雑な表情になる史也



「あ。お帰りお兄ちゃん」


「あ。お帰り史也兄」


二人は何事もなかったかのような顔して言う


史也はキョトンとしている



「史也兄お腹空いたろ? 晩御飯出来てるよ史也兄の好きな和食」


「着替えて来る」


和食と聞いて表情が変わり慌ただしく部屋に着替えに戻った(好物にはめがないが真妃ほどではない)


着替えを済ませ慌ただしく降りてくる史也


それから和気藹々と夕飯を食べる

まだぎこちなさを残したまま


数日が経ち10月もそろそろ終わり月が変わろうとしていたころ事は起きた


「あ。真妃ちゃんだ! どうしたの? もしかしてもしかしなくても史也に用かな? なら教室にはいないよ 屋上に居ると思うよ」



何も言ってないのに説明してくれたのは史也の友達で真妃とも面識のある明だった



「あっありがとうございます」

[誰だっけ…あ。美子のお兄さんだ]


一瞬思い出せなかった真妃

軽く明にお辞儀をし急いで屋上に向かう


急いぐ余り途中で…


ドカッ



「いっ…って…」


「うぅ~」


ぶつかった ぶつかった相手とは



「クソ…誰だよって…あ。」

「はぅ…ごめんなさい…あ。」


「小山さん…」

「后君…」


二人は一気に顔が赤くなった



「あの…すみません 大丈夫ですか? 怪我してませんか?」


后に近寄る真妃



「だっ…大丈夫です 小山さんこそ怪我はない?」


照れて声が大きくなる后



「だっ…だっ…大丈夫です 本当にすみませんでした」


アワアワする真妃



「大丈夫だからそんなに謝らなくていいよねっ小山…さ…ん…」


ビクビクしだす后

それを見て首を傾げる真妃


后は見てしまった…

壁に隠れてほんの少しだけ顔覗かせてこちら(真妃と后)を見ている者を…



「ひぃ…うぎゃ~!?」


叫びながら去って行く后

パニクル真妃



すると…



「真妃何してるんだ?」


ひょっこりと史也が現れた



「あ。お兄ちゃん…何か怖いよ そこ(壁)からひょっこり顔出してジーッとみてると…」


引き気味で史也を見る真妃



后が見たのは壁から微妙に顔覗かせてこちらを見ていた史也と目が合い余りの恐怖にダッシュで去って行ったのだ



「そうか? まっそんな事より真妃は俺に何か話したくて屋上に行こうとしてたんじゃないのか?」


シレっとした表情で言う史也



「うん…そうだった」


真妃は后とぶつかったおかげで(ベタな展開だな)話せて嬉しくて目的を忘れかけていた



屋上につき真妃は周りに誰も居ないことを確認し一呼吸置いて話し出した

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