第46話 ツベルの地下要塞
地下道を果しなく降りて行き、やがて広い倉庫に突き当たりました。
何も無いだだっ広い倉庫です。
兵士2人がやぐらを組み、2人の肩に3人目が立ち上がり、壁をなぜています。
すると、巧みに隠された通路が現れ、しばらく進むと昇降用のリフトに突き当たりました。
「きゃっ?じいちゃん!!」
リフトの動きに驚いたミメがすがりつきます。
「大丈夫、下に降りる乗り物だよ」
「そう?床が揺れたのに驚いただけ」
ミメは落ち着いたようです。
ワトさんは流石神、動じないね、何か目がキラキラしてる。
暇なので兵士に話し掛けてみます。
「ずいぶん厳重だね!」
「ツベル帝国全住民が住む地下要塞です、厳重に注意し過ぎでも、まだ足らない位です」
「えっ!!帝国住民は、全員無事なの?」
「はい!ロキソニ軍の動きは判っておりました、皇帝自ら避難を引率されて」
「攻撃前夜には全住民の家財に至るまで、地下要塞居住区に移し終えて居ました」
「神王様から頂いた、飛行術と収納が凄く役立ったと、陛下がおっしゃって居ました」
浮浪者の偽装のため、まともな人間に見えない風貌の男達が、きびきびとした返答、大事な入り口を守る優秀な兵士と、あらためて感じるじいちゃんでした。
此だけ会話してもリフトはまだ動いています、速度は遅いがどれ位降りるのでしょう。
6畳位のスペースのリフトなので、恐怖は感じませんが、エレベーターみたいな囲いがある訳じゃ無く、まわりはむき出しの岩盤、触れると怪我をしそうです。
(・・・リフトの昇降動力は何?安全性事故の防止に関するセーフティー機構はどうなっている?・・・「まっ良いか」空から星が降って来ないか、常に空を見上げて注意し続ける、そんな真似は止めよう!)
違うでしょ!と言いたくなる結論で納得する、何時ものじいちゃんでした。
居住区は最下層のようで、何度か何かの設備っぽい箇所を通過して、やっと到着です。
岩盤を切り取った巨大な出口を通る、3人の兵士に続きます。
「す・・・凄い!!」
「薄暗い洞窟を想像してたが、電気を発見してたんだ!ツベルって!!」
照明が点いた天井はドーム形、見た感じ直径1キロ!!
見事な地下都市が広がって居ます。
地下都市入口付近は、軍関係の施設が続いて居ます。
兵士3人の先導のお陰か、誰の誰何もなく進めます。
「一億年前のトール文明、それよりずっと前の埋もれた遺跡を利用してるみたい」
小声で、ワトさんが教えてくれました、
皇帝の住まいとは思えない、質素な家に通されました。
「赤子を背負って、なんともアットホームだな」
満面の笑みの一本角の鬼人、アイン皇帝が迎えてくれました。
「アイン元気そうで、安心した!!」
「カメ!帝国の説明より、その子達は?まさか・・・」
「アインの想像通り、私とワトさんの子供です」「男の子がナギ、女の子がナミ」
「おめでとう!!婚約中と言っていたが、結婚したなら知らせ位寄越せ!!」
「いや、その・・・結婚はまだ・・・弾みで出来ちゃった?」
大笑いして、アイン皇帝は、じいちゃんの肩をバンバン叩きながら、
「枯れた感じで、ひょうひょうとして居るくせに、ヤる事はヤる
「いや、その、お腹を痛めて産んだのはカメさんだよ・・・」
ワトさんが言い難そうに説明します。
カメ達一行以外、アイン皇帝を含む、お付きの人達全員ポカンと口が開き、スッゴイ間抜け面してました。
立ち話は何と通されたのは、質素な応接室でした。
と、言う訳で2人の子供を授かりました。
「元々神々の子作りは、何でも有りって言うか、決まったルールが無いそうなんです」
「神々のされる事は、人には計り知れぬ物だな?に、しても、あの訳の解らん番族どもを従えさせたか!!!」
「一億年前のトール神の末裔だから、女神のワトさんでも、会話が不可能だったとか」
「どう説得しても駄目な者達は、消滅させたが・・・」
「まっ事、カメには驚かされる!!!」
「子供の事はさておき、アイン!地上の帝都の惨状はどうした!!」
「ロキソニ軍の進行急な事で、この状態が最善の処置と思われた」
「間抜けなロキソニはツベル侵略中に、本国をプロミネント王国軍に攻撃され大慌てで帰りよった」
「監視に僅かな設備を残して居るが」
「攻撃して来たので、砲撃部隊は消滅させて置いたよ」
「おう!!それは助かった!!」
「カメ達、心強い助っ人が来てくれた事でもあり、大反撃始めますか!!!」
武器弾薬、攻撃兵器類は、授けた収納に全て収納して居るそうです。
改めて、飛行術と収納のお礼を言われました。
「この2つの能力が無ければ今の安全な状態は有り得なかった!!!」
「アインが推薦した人限定で、色々能力譲渡するよ!出来れば、アインにツベル大陸統一達成して欲しいからね」
住民と警備係を地下都市に残して、全てのツベル帝国軍が行動開始です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます