第42話 じいちゃん、まさかの出産

 怒りのミメは、最大威圧をクラーケン族に放ちます。

 300以上のクラーケンが、一斉にバタっと倒れ、一瞬の制圧です!


 ミメはゴーラを残し、全てのクラーケンを収納しました。

 気絶している、ゴーラのイカ足を、頭の上に纏めて縛りつけ、茶巾絞り拘束し、

 ワト神様は?と、振り向きました。


「ワッワッ!じいちゃんを抱きしめ!?・・・キスしてる!!

 私だって、したこと無いのにぃ~~」

「ワト神様!!どさくさに紛れてぇ!!何やってるんですかぁ!!!」


「ん?イカ女の子供が、カメさんから産まれるのは、我慢ならん!!!こうして、汚れを浄化し神力で、カメさんと私の子供に置換してやった!!カメさんは、少ししんどい思いをするが、明日には可愛い私達の子供が産まれる!!!」


「えぇ~~~??そんなのぅ、ありですかぁ~~~!!」

「宿った子供に罪はない、ただイカ足女の子供が、カメさんから産まれるのは、絶対嫌なの!!!」


「でも・・・男のじいちゃんが産むって変でしょ!あり得ないよ!!もぅ~~訳わかんないぉ!!」


「神の子作りに、これと言う決まりは無いのよ!生物のように、遺伝子混ぜ合わす事でも、分裂でも良いし、今ある何かを変化させる方法でも、何でも有りなの!!」


「私とカメさんの子供は、今たっぷりとカメさんの神力を吸収して、成長してる!!私の神力で芽生え、カメさんの神力を吸収して2人の神力が混ざり合い!私達の子供になって居る!普通の人間だったら、干からび死ぬ程の勢いで!!」


 細いじいちゃんですが、お腹だけが異様に競り出して来ました。

 苦しくはないようで、少し上気した顔で、すやすや眠って居ます。



 日の出です。

 辺りが明るくなって来ました。


 ワト神様は、じいちゃんのお腹を、じっと見ています。

「もう少し・・・」

(もう、取り出しても良いかな)

「カメさん、起きて!」


 じいちゃんは目を開き、少し苦しそうです。


「うっ!?」

「今よ!!カメさん!私達の子供、取り出すよ!!」


 ワト神様は両腕を胸に、何か抱くポーズで、目を閉じて居ます。


 じいちゃんのお腹が、眩しく光って居ます。

 眩しい光は、ワト神様の胸にフワリと移動します。

 光は、柔らかく光量を下げました。


 やっと、様子が見えるようになりました。

 ワト神様は、左右両手で2人の赤ちゃんを抱いて居ます。

 2人の赤ちゃんは、柔らかい光に包まれて眠って居るようです。

 元気な産声が無いのは、人とは違うって事なのでしょう。

 ワト神様が、普通にされてるって事は、これで問題無いのでしょうね。


 ワト神様に近付き、そぅっと赤ちゃんを覗いてみました。

「ワッ!可愛い!!」


 じいちゃんのように、黒い髪の赤ちゃんと、ワト神様のような、黄金の髪の赤ちゃんが、優しい光に包まれ、新生児とは思えない、とても愛らしい顔です!!


「抱いて見ますか?」

「は、はい!!」

「人とは違い、首も丈夫だから、普通に抱けば良いよ」


「じいちゃん、見て!可愛いでしょ!!じいちゃんとワト神様の子供よ!!」


 じいちゃんは、さすがに疲れた様子で、少し笑って気絶したように眠りに落ちました。


「ワト神様、じいちゃんは、事の顛末理解してるの?」


「それは大丈夫、ずっと念話で説明してたから」

「カメさんも、子供が産まれるのを、楽しみにしてたのよ!」

「男の子と女の子が産まれる事も、わかってた」

「名前も、カメさんと2人で決めたのよ!」

「男の子がナギで女の子がナミ、カメさんの国の、最古の神の名だそうよ!」


「あれ?ミメ?・・・寝てる!」

「私は、睡眠必要としないけど・・・少し寝ようかな?」




「おーい・・・この拘束は苦しいぞ~~すっかり忘れるられてる・・・お~~い何とか言ってくれ!!」

 茶巾絞りのまま放置のゴーラ、かなり哀れです。

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