第27話 じいちゃん巨人族どうしたい?
ララアやケイトの、涙でぐちょぐちょの顔、初めて見たな。
脳震盪を起こしたようで、意識がシャキッとせず、ぼんやりそんな事を思いました。
気が付いたか、主殿。
優しく語りかけ、頭を撫ぜるタツノに、膝枕されて居たようです。
廻りには、涙目で心配そうな、ホミ、キサも、ゴンにコポも居ます。
思い出した!
巨人はどうなった?
ララアがぐじょぐじょの顔を袖で擦りながら。
「我らわ達で、手足をへし折って転がしておる、主殿の処分待ちじゃ」
ケイトが鼻をすすりながら「主殿をこんな目に合わせ、殺してやろうと思うたが、皆仲良くといつも言ってた、主殿の判断待ちぞね」
私は、こんなにも皆に、心配かけてしまった事の後悔と共に、皆の気持ちを凄く嬉しく感じました。
ゆっくり起き上がり。
「皆、心配掛けてごめん!」
皆は、無事な私にほっとしたようです。
それでも、まだ心配そうな、皆を見回すと、何か温かい気持ちに包まれ、闘う気持ちが、消え失せて居ました。
自分の弱さを知ってて、いつも慎重過ぎる行動をしてたはず。
それが、いつの間にか、少し強くなった気になって、増長してた。
ワトさんや皆に助けられ、守られていたのに、身代りさえすれば、無敵になれるって、いつの間にか凄い勘違いジジイになってた。
初めての完敗に、かなり気持ちが落ち込んで居ます。
私が巨人の方に向かうと、皆が守るように私を取り囲みます。
痛むのか、巨人達から呻き声が聞こえます。
さて、どうするか・・・。
巨人の対処に考えを巡らせて居ると。
ジャングルの木が、メキメキへし折られる音と共に、数10体の巨人が現れました!
タツノ達は、即実体化して、凄まじい竜の威圧を放ちます。
威圧に立ち竦む巨人達。
一段と巨大な10メートルはあろうかと見られる、先頭の巨人に、鑑定を試みました。
ワトさんの鑑定は、完璧に働いてくれました。
巨人王
LV50 HP1700 MP500
力 5000 速さ 300 魔力 200
あれ?
確認の為に、巨人王の廻り数人の鑑定もしました。
今の私は、タツノに勝ってLVが上がり、竜並の強さになってます。
ツルタ侯爵 竜殺し
LV12 HP25000 MP40000
力 25000 速さ 40000 魔力 50000
さっきのダメージ、無防備の上、ラッキークリティカルヒット、食らったようだ、それも頭だけに。
そうか!
相手が弱過ぎた為に、セーフティが自然に働き、身代り不発だったのか。
もし身代りが働き、巨人が私の強さになってたら、完全に殺されてた!
何か、気が抜けてしまいました。
不味い!
竜達、卵泥棒に怒りを露にしています。
竜が1人暴れただけで、巨人ども、消滅してしまう!
私は全速で竜と巨人の間に入ります。
待て!!
巨人族の王、私の言葉理解出来るか?
ウウ、イアツヲ、ヤメロ!
「この、こそ泥共が!止めて下さいだろ!!」
「コノ、チビ!エラソウ二、コロス!」
最大威圧を王に向け放ちます。
あっさり気絶してました。
巨人族に向け「この中に、私と話する気がある奴居るか!」
「マ、マ、ッテ、ク、ダサ、リ」
片言言葉を交え、巨人族の言葉は拙い!
根気よく話を聞くと。
元々巨人族は、平和に平穏に暮らしていたそうです。
敵対する者も、かつては居たそうですが長寿な種族、逃げている内に短命な敵対種族は、死に絶えたそうです。
平和に長く暮らして居たのに、今の王になり、力で皆をねじ伏せ従わせ、盗みを無理矢理させられて居るそう。
逆らって、殺された者も、何人か居るそうです。
どうか、王を倒し、我々を自由にして欲しい!
そんな事を懇願される有り様です。
息巻くタツノ、ララア、ケイト達に、私の我が儘、お願いを聴いて貰い、全員に威圧を抑えて貰いました。
自分が強い為、私達が成りを潜めたと、巨人王は思ったようで。
「チビスケノ、ニンゲン、コロシテヤル!」
態度も身体もデカイ王に、単独立ち向かいました。
王の動きは鈍重で、力任せに丸太を振り回すだけです。
技工も技も有りません。
目の前を、丸太が通り過ぎたタイミングで、巨人王の顔面目掛け、飛び掛かり殴り飛ばします!
手加減はしたつもりですが、王は私のパンチに耐えられませんでした。
生きて居たら、こそこそ悪さを繰返し、私や仲間を付け狙う
ろくな事にならない事が予想されます。
「死んでくれて、良かったかな?」
巨人族の村は、想像以上に悲惨な状態で、餓死者が出ていないのがまだ救い、と言った酷い状態でした。
巨人族も侯爵領に統合され、緊急食料援助として、捕鯨の村ガレロから鯨を取り寄せ、巨人族の食料問題を解決しました。
巨人族の居住区にはミスりル鉱山があり、電気分解するとアルミニウムが精製されるボーキサイト泥まで無尽蔵にありました。
鯨が嬉しかったのか、飢える事が無くなったと、非常に感謝され、
巨人族は疲れを知らないが如く、働いてくれて居ます。
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