第19話 じいちゃんミメに説教される

 王都側の受け入れ準備とかで、5日間ガルバニ町に滞在することになりました。


 2日目こそ冒険者50人の葬儀やらで忙しく過ごしましたが、後は町中の店舗をみて回る位しかする事が無く、退屈です。


 何かの縁です、ギルドマスターに遺族に渡して下さいと、黒曜貨10枚1000万ゼン預けて置きました。


 食べ物も期待するほど美味い料理に出会えず、そんな3日目の夜でした。


 用意された、豪華な宿の私の部屋に、ミメとエルフのエルナがやって来ました。


 ミメは、エルナさんが、じいちゃんに話が、あるそうニャと言い残し部屋を出て行きます。

 ミメは退室の時、悲しそうな顔をして、チラッと私を見、出て行きました。

(何?凄く気になる!)

(エルナが来たのは色事でしょ、ミメは焼き餅?そんな顔じゃ無かった・・・)


 思い詰めた様子のエルナはしばらく無言です。

 話しを急かすのも良く無いと思い、私も言葉無くエルナを見つめました。


 暫くして決心したのか、私を見つめ立ち上がり、服を脱ぎ出しました。


 裸のエルナは妊娠線の跡も無く芸術品の様な身体でした。


 ベッドに潜り込み、微かな声で「ご寵愛を・・・」後は聞き取れません。


 やはりか・・・少しうんざりして。

「エルナさん、ルヒトさんのお母さんでしょ!」

「もっと考えた行動取って!」「服を着て出ていって下さい!」


 エルナさんは、目を見開き瞳から大粒の涙を流し、服を掴み裸のまま走り去って行きました。

(ふぅ・・・何考えて居るの?)


 代わりに血相をかえたミメが入って来て


「じいちゃん!あれは無いでしょ!」

 私はとっさの事で、ミメいつものニャは?話し方変。なんて呑気に思っていました。


「ミメいつもの・・・」


「黙って聞いて!」

「はい・・・」


「皆不安なんだよ!分かってる!」

 ミメが突然話始めました。


「旅をしてるから少しは不自由させてる?」


「私の話が終わるまで、黙って聞いて!」

(はい・・・)

「私も初めは不安いっぱいで、恥ずかしさ我慢して、じいちゃんに裸見せたりベッドで抱きついたり、色々頑張ったんだよ!」


(あれはそう言う意味か、子供だからと思ってた)


「狩りでは、わざと下手っぴなふりして、私を試したり」

(いやいや!あれが実力)


「その後オーク2体瞬殺してみせ、ヤッパリ試されたって気付いたの、ゴンさんって強い仲間まで居て、私なんて、要らない?捨てられる!って本気で悩んだの!」

(そんな事思ってたのか・・・)


「でもね、オークやコカトリスを安全に倒せる状態にしてくれて、

 大切に育ててくれた。一緒に狩りをしてくれて、じいちゃんの気持ちに気付いたの!狩りの仲間にしてくれる!凄く安心したの!ワト神の頼みじゃ無い、じいちゃんの意思で助けられたって。私でもそうなのよ!ホミなんて仕事買って出てまで、認められようと必死過ぎる位!力でねじ伏せ主従関係になった、ララアやケイトとは違うのよ私達!不安がって当たり前でしょ!ちょっとは分かってよ!」



「エルナさんが、どれだけの決意で、じいちゃんの所に行ったか!ルナ姫に見向きもしないじいちゃん、それではと侍女のエルナさんを言い含め向かわせた!

 エルナさんは、ふしだらじゃ無い!

 それを、じいちゃんったら!」

(ルナ姫?)「ちょっと、ミメ!」

「ルナってお姫様なの?」


「一本角の魔人は昔から高貴な存在なのよ」


 知らなかった。

 皆の気持ちも。

 私は......考え方が浅かった!



「解った、ミメ教えてくれて有り難とう!それから・・・じいちゃんも本心をミメに話すよ!」

「ん?本心?」


「ミメをじいちゃんは地球では得られ無かった、孫のように思ってる!

 なついてくれるミメを、本当に可愛いと思ってるし、頼りにもしてる!強いミメが仲間になってくれて、本当に嬉しかった!此れからは安心して、この世界で生きて行けるって」


「少しミメは思い違いしてるよ!」


「ミメと出会った時、じいちゃんは本当に弱かったんだ!弱い上に知らない世界、適応出来ず不安持ってた!じいちゃんより10倍はミメの方が強かった!強いミメが仲間に成ってくれて、どれ程心強く感じたか!狩りにも、ミメが居てくれたので行くことができたんだ!

 

 強そうに見えたのは、ワトさんの加護で瞬間強くなるだけ。


 今はララアと闘った時に強くなって、それでも多分ミメと同じ位!

 ミメが居てくれると安心出来る!

 これからも、じいちゃんを助けて!ミメ!」



「・・・じいちゃん!!」


 ミメが抱きついて来ます。

 泣いて居るようです。

 えっ!私も泣いてた!



 其からの、残りの日々は皆と話をして、1人ずつ得意な事、出来そうな事、希望など聞いて過ごしました。


 意外な真実、ルナはツベルから派遣された『遣ゼンナ使』でした。

 貿易など将来出来るように協力を約束しました。


 全員を集め、おそらく私が侯爵の爵位を貰い、何処かに領地も賜る事になる。

 その時、皆の協力が無ければ、私1人じゃ何も出来ない。

 今後も、皆の協力をお願いします、と頭を下げました。



 日本人の悪い所が出て仕舞いました。

 話し合わないと、わかり会えない、変な気遣い、遠慮はこの際要らない事でした。


 反省!!

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