第18話 じいちゃんガルバニで大暴れ

 ゼンナ街道、後3日でゼンナ王都と言う所を、左に折れると半日の行程でガルバニ町に着きます。

 聞いて居たとおり、ガルバニ町西門が見えて来ました。


 例により5人の従者、上級冒険者達に先導して貰い、門をフリーパス。

 門番は、人化して私の前を行くララアとケイトに目を奪われ、私の周りでじゃれ会うルナとコポに目を剥き、後を行く12人の魔人に口をあんぐり開け呆けていました。

 5人の従者のお蔭でしょう、それでも誰何も無く素通りできました。


 道中、魔人のルナと亜人のコポは、ずいぶん仲良くなった様で、仕切りに笑い合い、何かボソボソ話し合っていました。

 縫いぐるみのような可愛いコボルトと、額に角はあるが12才位に見える女の子が、じゃれ会う姿は微笑ましくも、和む風景でした。


 でも、魔人と亜人言葉が違うはず、何で通じるのか?

 所々聞こえて来たのは、ルナが亜人語を話していたような?


 ルナには色々聞きたい事、気になる事も有りますが、

『好奇心は猫を殺す』です、いつか話してくれるでしょう。


 冒険者ギルドが見えて来ました。

 流石上級冒険者の町のギルドです、不必要な位立派過ぎる建物でした。


「このままギルドに入れば大騒ぎになります」

「話しを通しておきます」

「少しお待ちを」

「此処はギルドの広場です、休憩していて下さい」

 相変わらずオシムは無口です。


 銘々が言い残し、ギルドに入って行きました。


 ギルドの広場は野球とサッカーが同時に出来る程広々としています。


 ガルバニ町は王都に匹敵する程大きな町、東にゼンナ大川南にガルバニ大川が流れ、緑豊かな所と砂漠地帯の両極端な町、北の外れには大森林、南は王都に隣接しているそうです。


 ララアとケイトとそんな話しをしていると何やら不穏な空気が、冒険者風の男達、20人程が近付いて来ます。


 流石に獣人、亜人混じりの団体、目立っていたようです。


 憂さ晴らしにはもってこいの相手。

 私って全く強そうに見えないみたいです。


「おいジジイ!えらいベッピン連れてるじゃねぇか」

「すこぉし俺らに貸してくれ」

 定番過ぎる絡み方です。


「その魔人どもは何だ!コボルトまで居やがる」

「不気味なジジイ!」

「この町にゃジジイ用はねぇ」

「とっととベッピンおいて出て行きやがれ」


 何か言い掛かりがエスカレートして行きます。


 和やかな私と、バカにした表情のララアとケイトが火に油注いでいたようです。


「主殿、不届き者、お仕置き必要なのじゃ」

「我が成敗ぞね」

「待ってまって、2人に任せると死人が出るよ」


 軽い憂さ晴らしのつもりの弱そうな相手が、上級冒険者の自分達を嘲笑う様な態度、日頃甘やかされていた奴等の事、遂に逆上してしまいました。


 ジジイ!殺って仕舞え!!

 口々に殺れ!殺れ!殺れ!となりました。


「沸点の低い人達ですね!」


 魔人の皆は、私が負けるはずないと思って居るみたい、楽しそうに見ています。


 突っ掛かって来た男達は、運悪く近くでオロオロしていた、コポを撥ね飛ばし迫って来ます。


 加速!

 飛ばされたコポを助け、ルナに預けます。


 男達に威圧を込めて言いました。


「さて、お前ら罵詈雑言は聞き逃してやったが」

「可愛い仲間に手ぇ出した事後悔させてやる」


 と言いながら、近くの男達にボディーブロー


 スキル加速中の私の攻撃です、相手は全然見えて無い!

 後悔させるため、ダメージの大きいボディーブロー!


 私が通り過ぎ、皆の所に帰るのに3秒程でしょう。


 通った後には、23人の男達が、呻きのたうち回って居ます。


 首から上を打たれるのは脳が揺れてふわりと気絶ですが、腹を打たれるのは地獄の苦しみです、苦しさに気絶も出来ません!


 遠巻きに観ている冒険者どもにもボディーブロー。

「お前らもバカ止め様ともしなかった!連帯責任取れ!」


 理不尽だろうがやり出したからには徹底的にやってやる!


「お前らも、連帯責任取って貰う!」


 暴れ回り通り過ぎた後には、腹を押さえて、のたうち回る男達が100人以上いました。


 最初の23人の所に戻り、まだ呻いて居る1人1人の髪の毛を引っ掴み

「まだ何か言いてぇか?」

「有りません!」

「じゃ寝てろ」

 頭を蹴り飛ばし楽にしてやります。

 これの繰り返し23回は辛いので途中から

 髪の毛を引っ掴み睨み付けだけで気絶させてやりました。


 喧嘩は昔、50年程昔やりなれてる、この程度まででは人は死なない!


 なんて、思って居ると、背中に激痛が走りました。

「いてぇぇ!」

 手で探るとナイフが刺さってる?

 無意識で引き抜きます(リアルでは悪手です出血が酷くなります)

 傷は服も身体も瞬時に治りました。


 見ると大男がにやけた顔をして私を見てる?

「お前か、刺したの!」

「殺る気で来るからにゃ、殺られるのは覚悟してるな!」

 にやけ面の大男だけは殺っておこう。


 にやけ男今は顔を真っ青にして「化け物か!血も流さねぇ?」

 なんて、呟いています。

 過剰に力を込めて、殺す気で殴り飛ばしました。


 少しだけ後悔しましたが、後々着け狙われる危険の元、見逃して話しを無理やり面白くする、そんな手法取りません。


 殺る気で来られた、殺っても大丈夫とは思いますが。

(カメさんお待ちかねの初心者いじめね)

(あれ?ワトさん久しぶり)

(観てたけどカメさん忙しそうで遠慮してた)

(やり過ぎた?)

(良いよ!天罰ね!)

(天罰って私しゃ神様じゃ無いよ)

(天に代わって成敗、なんてねウフ)


 ワトさんのお蔭で、クールダウン終わった頃、騒ぎを聞き付け、5人の従者とギルド職員が駆け付けます。

 職員はギルドマスターのようです。


「こら!ゴロツキども」

「此方のご老人は、竜殺の魔爺様、貴様らなど何百人束になっても勝てないお方だぞ!」


 無事?収まったようですが・・・何か酷い紹介のされ方でした。


 その後冒険者の間で「魔爺はまじい!まじ逆らうな!」

 の合言葉が囁かれ伝えられたそうです。

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