第17話 じいちゃんコボルトも仲間にする

 コボルトの、臭いが解ると言う、ホミの先導について行き

 お仕置き!と息巻くララアとケイトをなだめながら、先を急ぎます。

 ルナは、変わらず服の裾を掴んで付いて来ます。


 行き先は、大森林とは真反対!

「ホミ、こっちで良いの?」

「じいちゃん、臭いはこっちからする」


 数10分程行くと、密林が目の前をうっそうと覆います。


 ここに入るのか、森より恐ろしいな!

 日本ではジャングルなんて、まずお目にかかれない。

 小笠原列島に行けば在るそうですが、行ったこと有りません。


 熱帯性のジメついた空気が不快感を誘います。

 非力なコボルトには、大森林よりこちらが安全に思えるのでしょうか?


 私は森の方が断然良い!

 ジャングルに入るとすぐに、辺りが薄暗くなります。


「じいちゃん近くに居る!」


 さすがに奥深くには恐ろしくて入り込めないのか、少し開けた所に集落が在りました。


 集落は、草と小枝で作られた小屋が10軒程の小規模な物です。


 ララアとケイトの殺気で吹き飛びそうな、小さな生物其がコボルトでした。

 イメージとはだいぶ違っていて、少し気が抜けました。


「オーイ恐がる事無いよ!」

「代表者は誰?話がある」


 もうダメと覚悟を決めたのか、空になった鍋と土鍋を持った、身長130セル程のコボルトが、おずおず出てきました。


 ララアとケイトを非常に恐れて居るようで、彼我の実力差を充分理解している様子。

 後ろの仲間を助けるため、己れを犠牲にする、集団のリーダーらしい清い態度に思えました。


 コボルトの長、名前をコポ、彼らは思った通り、森から逃げてきて、ここに住み着いたそうです。


 移住したのは良いですが、森と違い食べられる草、木の実が乏しく獣も狩ることが出来ず。

 皆は飢えるいっぽうで、そんな時良い匂いが漂って来て、匂いに釣られ、つい取って来てしまったそうです。

 ラミアとアルケニーが居たことは分かって居たそうで、いずれ皆殺しにされると思い、来たら自分の命だけで許してもらうよう、頼み込むつもりだったそうです。


 気の毒になり、買い取り値段安いのでギルドに出さなかった、ムク15羽全て出し、

「取り合えず皆で食べて」とコポに渡します。


 私の言葉にどう対処すれば良いのか分からなくなったみたい、オロオロしています。


 ララアがコポの様子に、イライラしています。

「コリャコボルト!」

「我らわの主殿は女神ワト様の友人なのじゃ!」

「お前ら弱い亜人を助けるよう、ワト神様に頼まれ働いておるのじゃ!」


「有り難く主殿の下部になるのじゃ!」


 コポは目を剥き「ワト神様のご友人?」

「そんな偉いお方でしたか」

「我ら全員喜んで下部になります!」


 下部とかじゃ無く仲間ね!


 また余計な事に首突っ込んじゃいました。

 先を急ぐのに、このまま放って置けません。


 コポに戦士全員集めて貰い、短い槍と弓矢を人数分渡し、コポと戦士隊長に収納アイテム付けてあげました。

 コボルト達は、泣いて喜び「これで楽に狩りが出来ます」

「ご主人様が我々を必要とされる時、いつでも何処でも馳せ参じます」

「有り難う御座いました!」


 モフモフした体につぶらな瞳、歩く縫いぐるみ!

 可愛いコボルトが硬い話し方、ギャップが尚可愛い!


 コボルト頭は良さそうです。

 いずれしっかり働いて貰いますよ!


 さて皆が待つ、街道沿いに帰りましょ、何故か、コポが付いて来ます。


「お役に立ちます!同行お許し下さい!」

 キラキラおめめの縫いぐるみが言います、


 ふぅ・・・硬いんだよねコポちゃん疲れるでしょ。



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