第15話 じいちゃんの通り名は魔爺

 奴隷商受付で、少金貨2枚を支払い、取引終了。

 13人の魔人、2人の亜人、5人の冒険者、それに私で、21人。

 大人数で、冒険者ギルドに向かいます。


 ルナは、あれ依頼私にベッタリです。

 歩く時は私の服の裾をチョコンと掴みます。

 仕草が可愛い。


 道中ミメ達3人が、魔人達に色々説明していました。

 私もギルドで用を済ませてから説明します、と言っておきました。


 冒険者ギルドでは、魔人を引き連れ、上級冒険者を従え入って来た私を、口をあんぐり開け、目を見開いた中級冒険者達が迎えました。

 特にルナを見て、角魔人だ!と何故か恐れて居るようです。


 受付に向かい、

「買い取ってもらいたい物が、竜を含め大量にあるのだが、鑑定する場所を指示願いたい」


 竜の一言で、蜂の巣をつついたような大騒ぎになって仕舞いました。


 受付職員は、「しばらくお待ち下さい」の言葉を残し、奥に走って行きました。

 しばらくと、言われたわりに、すぐ奥に通されました。

 全員ゾロゾロ入って行きます。


 室内は豪華に装飾され、1枚板の高額そうな執務机の奥の老人が、立礼で迎えてくれました。

 上級冒険者に対してか、私に対してかは分かりませんが。


 老人は、私達を見渡し、ララアとケイトに目を奪われながら、見知った上級冒険者達に話しかけました。


「この度は、竜を倒されたそうで、おめでとうございます」


 冒険者達は全員私の方を向き、

「このお方が、我々の命を竜から救い、単独竜を倒された我らの主人だ!」

「中級ギルドマスター粗相の無いように!」


 ここのギルマスより、上級冒険者達の方が偉いようです。


 ギルドマスターは驚いたように私を見て、「ポイントカードを拝見します」

 私がカードを出すと、「銅?」一瞬で蔑んだ表情になります。


 机の上に置かれた何かに、カードを置き、しばらく凝視し

 口をあんぐり開け、あぶら汗を流しだしました。


 ギルドマスターはハッと、気を取り直し、銅のカードを見、私を指差し

「お前は何者だ!魔人を引き連れ、何を企む!」


 こいつ何を慌ててる?

 瞬間移動かと思われる速さで、ララアとケイトが私を守るように前に出ます。

 物理的な力をもつ殺気を2人は放っています。

 辺りは凍てついたようです。


 かろうじて、耐えているのは、私とミメ達、何故かルナは平然としています。

 ミメ達は魔人達に、ララアとケイトについて、早口で説明してます。

「恐く無い!2人はじいちゃんの仲間の亜人!」

 ルナは見掛けと違い結構LV高いのかな?


 ギルドマスターは声を振り絞り、「そ、の、ふ、た、り、は・・・」後声が出ません。


 2人に「殺気を押さえて!」

 ララアもケイトも無意識だったのでしょう、すぐに殺気を押さえます。

 その瞬間、金縛りにあっていた全員、気が抜け崩れ落ちました。


 私はいたずら心をお越し、2人に人化を解かせました。

 ラミアとアルケニーの姿に、気の抜けていたギルドマスターは、又金縛りです。


 ギルドマスターに「ラミアクイーンがララアで、アルケニーの女王がケイト、私の友人、仲間です」と紹介しました。


「・・・魔物使いだったのか!」

「いえ、ただお話して仲良くなりました」

「そんな訳あるか!」

「現に仲良く成ってるでしょ」

「其を魔物使いと言うのであろう!」

「そんな大層なスキル持ってません、ただお話して仲良くなっただけですよ」


 ・・・そうか?何が変かと、魔物と話が出来る訳無い!にしても、魔人を従え、角魔人になつかれ、亜人の仲間!事実、上級冒険者達が主人と言ってる・・・訳が分からん・・・このじいさん、人外、物の化の類いか!魔爺!!

「魔爺!」


 何かしきりに考えていた、ギルドマスターから聞こえて来ました。


「魔爺?何の事ですか?」

「お前のことだ!」

「へ?」


 この時から私をカメと呼ぶのはワトさんだけで、皆が通り名、魔爺と呼ぶようになって仕舞いました。


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