第14話 じいちゃんの奴隷今回は多彩

朝食の準備は、ミメ達が率先してカマドを組み、昨夜の残り野菜や肉を使い、段取りよく作ってくれました。

私は別のカマドでご飯を炊くだけ、楽になりました。

ミメ達はなれていたようで、意外に美味しい物を作ってくれました。


私が炊いたご飯を、美味しいと言いながら食べる5人の冒険者達、好感が増します。


同じ釜の飯を食うと言うことは大切な事で、ララアやケイトを冒険者達はそれほど恐れなくなりました。


目のやり場に困るので、昨夜ケイトにもセーターを着てもらっています。

アルケニーでも、女性です、珍しいプレゼント凄く喜んでくれました。

ケイトはララアほどプルンプルンではないです。



アボガ町に向け出発!

ララア、ケイトも主殿と行く!

問答無用で着いて来ます。


総勢11名、結構大所帯での行軍になりました。


ラミアクイーンにアルケニーの女王が行く!

魔物は、鳴りを潜め、全く現れません。

3時間足らずでアボガ町、西門が見えて来ました。


「主殿と行くのじゃ!」「別れるのは嫌ぞね!」駄々こねまくりの2人に弱ります。

「目立ち過ぎ!町の皆が恐れるでしょ!」

我らわ達、人化などお手の物、見ているのじゃ!

と言いながら、目の前で人化する2人、大慌てでスラックスを履いてもらいました。

因みにアンダーは頭髪と同じ、ララアが銀、ケイトが金でした。


2人共見掛けは絶世の美女、男物のセーターにスラックス着てても美女は美女、別の意味で目立ってます。


人化が出来るなら、少々目立つのは問題なし。

別れる理由が無いので一緒に西門をめざします。


最上級冒険者のネームバリューは凄い物で、西門はフリーパスでした。

従者気取りの5人は、私を竜殺しの我らの主人と、盛んに自慢しながら進みます。


まず、奴隷商です!

人の町では、便利に使える5人!

もう従者で良いか

奴隷商に案内してくれる、冒険者達を見てそう思いました。


奴隷商人は皆同じ、相変わらずの悪人面の男でした。

「魔人奴隷10人全員買う!」

と言う私に、同じく手の革摩りきれる程のもみ手に悪い笑顔です。

「全てお買上でしたら大サービス、20000ゼンにいたしますデス」

「奴隷の持ち物も全て出してくれるな?」

「ハイハイかしこまりました」


ここでもゾロゾロ入って来た冒険者達のお陰か、渋る事なく受け入れられました。


奴隷の檻にはミメ達3人と、離れるのは嫌じゃ!と言うララアとケイトも同行です。


檻の中に声を掛けます

「女神ワトの依頼により助けに来ました」

「なに?女神様の依頼だと!」エルフ?が言います

ミメ達が同時に言います「私達のじいちゃんは女神様の友達ニャ」

                         友達だよ

「女神様の友人?凄いお方なのじゃな!」ドワーフ?が言います。


奴隷商人に2人の手足の鎖を、外すよう指示します。

渋る商人に安全を保証する事で奴隷商人は、渋々従います。出てきた2人に取り合えず、シャツとパンツを履いてもらいます。


女性の檻に向かいながら、ミメ達がエルフとドワーフに話しかけて居ます。

「じいちゃんは、凄いんだよ!昨日も竜を一撃で倒したのよ」

「じいちゃんは、私の命の恩人ニャの」

「そうか!さすが神様を友人に持つだけあるな!」


恥ずかしく成るような会話が所々聞こえて来ます。女性の檻には

エルフ1人、猫娘1人、ドワーフ?小さい女の子5人、それに、角?が折れた不明の女性が1人、

入れられていました。

全員、やつれてスリム過ぎる体型です、プルンプルンは1人も居ません。

早く何か美味しい物を食べさせたい!


全員にシャツとパンツを渡し着方の説明はミメ達に任せます。


商人に倉庫へ案内させ、自分の服、武器、自分の物で無くても欲しいもの良さそうな物が在れば遠慮無く持って行くように魔人語で話しました。

奴隷商人は色々取って行く奴隷達に、何か言いかけましたが、文句は出ませんでした。

1人だけ、何も取らず手を握り締め、座り込んで泣いている娘が居ます。


私は娘の背を撫ぜながら、「どうした?何かあった?」

娘は握り締めた手を開き、「折られた、私の角!」

可愛い手のひらには、小さな角が乗っています。

「え!折られたの?折れたじゃ無く」

「此所に来て、最初に折られたの!」

私は上着を脱ぎ、娘に折れた角を見せてくれるように言いました。

「私達魔人は罪人の角を折るの......私何も悪い事してないのに」

「大丈夫、治してあげる」

私達の会話を聞き皆興味深そうにこちらを見ています。

「じいちゃん!治してくれるの?......そんな事......出来るの?」

「角をじいちゃんに持たせて」

角を娘の額に向きを合わせ、当てるとピッタリ合います。

角を押し当てたまま、娘に上着を掛けます、角はフワリと輝き完全に治りました。

「おーーー!」辺りから、思わず漏れたのか喚声が聞こえました。


「わ!私の角が!......ウウェン、ウワァン、エッエッ......」

私は娘が泣き止むまで、背中を撫ぜ続けました。

魔人に取って角はとても大切な物みたいです。

「ヒックヒックウッウッウウ」

やっと泣き止んだ娘の涙拭いてやろうと、ハンカチを探します、?無い!

良いや、服の袖口でゴシゴシ、今一締まらないじいちゃんです。


「じいちゃんありがとう、本当にありがとう」

「じいちゃんのためなら、私何でもするわ!」

「魔人ちゃん名前は?」

「ルナ、魔人族ツェフェル村のルナです」

「ルナちゃん落ち着いたら服と持ち物、欲しいものいっぱい取って、サッサとここを出よう」

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