第6話 じいちゃんオークを狩る

 何か寝苦しくて目が覚めました。

 うっ!?

 ミメちゃんが私に抱きつき、本人は普通のつもりでも獣人独特の剛腕で締め付けているのです、

 く、る、し、い!あばら骨がミシっと嫌な音をたてます。

「ヤバ ミ、メ、起きて!」「ん?何ニャ?」

「く、る、し、い、離して!」「は?ニャ!」

 締め付けが緩み、やっと危機から脱出できたようです。


「ごめんニャじいちゃん、じいちゃんと居ると安心ニャの!」

「これから気を付けるから、嫌いにならニャいで!」

「大丈夫!可愛いミメちゃん嫌うもんか!」

「・・・良かったニャ」


(普通にしてたんで気付いてやれなかった、知らない所で知らない私と2人不安感じるのは、当たり前だな)

(でも知らない所は私も同じ、ミメはまだまし、私なんてこの世界の人ですら無いよ)


 ミメちゃんと寝るのに裸はマズイと思いセーターにタイツ、変な格好ですが着ていて良かった。

 防具着けて居なかったら死んでたかも・・・今夜から別々に寝ないと命に関わる!


 目覚めスッキリとは言えませんが、早く寝たのでそれなりに疲れ取れてるみたい。

 この世界に来てから少し元気になってるみたい。


(違うカメさんLVが上がったお陰よ)朝からワトさんの突っ込みです。


(ワトさん暇なの?)

(カメさん危なっかしくて、放っておけないの)

(普通に寝てるだけで死にそうになってるし)

(はぁ、面目無いです)

(若い娘と一緒に寝て、少しは色っぽい事になるかと見てたのに、全然でグースカ本気で寝ちゃってさ)

(いやぁ、何気に覗きはどうかと思うよ、それに期待されてもジジイですから、下の分身ピクリとも反応しないって、何言わせるのワトさん!)


「あのぁじいちゃん?何ぶつぶつ言ってるニャ」

「へ?あっミメちゃん気にしないで」

「今6刻になった、朝食食べに行く?」

「うんお腹減ったニャ」


 朝食はまた臭いと風味がきになるご飯に野菜のスープ焼き鳥、おかずはそこそこ美味いのに、肝心の主食が・・・精米のしかた教えて何とか成るかな?

 でもミメちゃんは美味そうにシッカリ食べてらっしゃる、飯の臭い気にならないの


 お弁当を受け取り、少し心細くなったお金を増やそうと、ミメちゃんと狩りに行くことにしました。


 森に入るとすぐにミメちゃんが、ムクを仕留めました、動きが目で追えません。

 次ムクを見つけたら私に狩らせて、とミメちゃんに頼みました。

 ミスリルの剣使ってみたい!


「じいちゃんそこにムクニャ」

「教えてもらわないと気付かなかった」


 剣を振り上げスカっと見事に空振り

 結局後ろにいたミメちゃんが、パッと掴み首をひねりムクを仕留めました。

 何かへこみます、私何をしに来ているの?荷物運び?


 ミメちゃん1人で10羽のムクを仕留めて居ました。

 休憩に良い場所を見つけ、少し早めの昼食を取ることにします。

 弁当は握り飯に焼き肉、昨日と同じだな

 握り飯をほうばる?美味い!嫌な臭いがしない、程よい塩味あっと言う間に3個の握り飯完食です!

 タレに漬け込み焼かれた焼き肉冷えても美味い!

 何か騙されたような、満足感の昼食でした。昨日ミメちゃん美味そうに食べてたけど納得です。

 しまった!飲み水忘れた、ダメだな!

 飲み物なんて自販機かコンビニでって感覚抜けてない。


 茂みの奥がガサガサゆれています。

 さすがミメちゃん、さっと身構えています。


「やっぱりカメだ」

「え?だれ?まさかゴンさん?」

「そうオレゴンだよ、また狩りしよう」

「ミメ待って彼は私の知り合い」

「じいちゃん?知り合いって、あれゴブリンロードニャ!」

「ゴンさん話し方も姿も全く変わってるぞ!」

「ああカメのお陰で簡単に狩りが出来るようになった、オレ進化した」

「へぇ?何か良くわからんが、おめでとう」

「ミメ彼はゴン、以前一緒に狩りをした仲だよ」

「じいちゃん魔物と友達ニャのか?」

「カメの横に居るのは魔人か?」

「私の奴隷で獣人のミメだよ」

「カメは魔人を奴隷にしたのか、凄いな!」

 微妙に話がかみ合わないが、まっ良いか


 3人で狩りをすれば多くの獲物が狩れるでしょう

「カメ今日はオーク狩りしよう、魔人がいれば簡単に狩れる、オークは美味いぞ」

(身代り試してみるか)

 ゴンさんは森に住んで居るだけあって迷うことなくオークを見つけます。

 200セル以上の巨体2体がノッシノッシ歩いています。


「ミメ少し試したいことがある、任せて!」「はいニャじいちゃん」

「ゴンさん私にやらせて」「わかった任せる」


「みがわり!」

 物凄い力が湧いて来ます


 初めに身代りした相手と違う1体に斬りかかりました、手応えなく首が飛びます。

 もう1体は、さらにあっけなく首が飛びました。

 その間わずか30秒ほど。

 2体収納、飛んだ頭も収納している内にピコピコピコ全身脱力

「凄いなカメオレより強かったんだ!」

「じいちゃん今の凄かったニャ私ニャ無理」

 二人がそれぞれの言葉で称賛してくれる、凄ぇ気分良い!


 オークが1体歩いています。

「ゴンさんミメと、あれ殺ってみる?」

「ミメゴンさんと、あれ殺ってみる?」

 ゴンさんとミメがオークに襲い掛かります。

 ゴンさんはオークの頭を殴り、ミメはオークの脚の筋引き裂きます膝をつくオークをゴンさんはタコ殴り、ミメは首を狙い引き裂きます。

 終わったようです。

「じいちゃん力が湧きだしたのニャ」LVアップしたようです。

 あれ?私オーク2体仕留めたのに、何も起こらない?

 その後もう2体オークを仕留めましたが、何も変化無しでした?


 ゴンさんは1体で充分、これ以上持てないとのことで残り全てもらい、再度の狩りを約束し別れます。


 帰りはさすが獣人ミメ、迷うこと無く町に帰り付きました。

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