第一部ゼンナ大陸

第2話 じいちゃんと魔物のゴン

 地球の神様と大違い、親切で気さくな神様だったなワトさん

 えーと、太陽があの位置、今は午前だそうで・・・こっちが町のある方向だよね、真北へ進めって言われた・・・「わ!」

 私を狙っていた、緑の小鬼と急に向きを変えた私はぶつかり、お互いひっくり返ってしまいました。(ピコンHP2うばわれました、残りHP8)

「ううっ痛い!・・・慌てるな、こんな時は、相手の目を睨み、ゆっくり後ずさる」

 ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり、間合いが取れたら「逃げろ!」


 ひいひい、ふうふう・・・ダメだぜんぜん逃げれん、ひい!

 前方の木を掴み、なんとか体をかわします。

 かすめるように小鬼が通り過ぎます。


 又々小鬼と睨みあった私は覚悟をきめました。


「ちょっと待った、話せばわかる」

「何がしたい!」

「オデハラペコ、オマエ、クウ」

「待てまて!私は美味くないぞ、え~と」

「そこのウサギの方が美味いぞ」助かりたい一心、ウサギ居てくれ!

「ホーンラビ、ハヤイ、ウゴク、オデムリ」

 ウサギ本当にいた!「私と二人なら、殺れると思うぞ」


 大丈夫だ、ボケ神より会話が出来てる。

「?・・・ドウヤル?オデ、ゴブリン、ゴン」

「あっどうもご丁寧に、私はキフクです」

「ギ?ギブブ?」

「いえゴンさん、キフクです・・・言いにくかったらカメで良いですよ」

「カメ、ワカッタ」


 意外に話のわかる魔物のゴンさんと、作戦打ち合わせ。

 私がウサギをゴンさんの方に追い払う、ワッと脅せば逃げるはず、それをゴンさんが仕留める。

 簡単なはずが、大失敗、魔物は逃げずに向かって来る、知らないもんで・・・。


 向かって来るホーンラビットを、ヒラリヒラリ(本当はモタモタ)交わし、偶然ゴンさんの方にラビが行きました。


 グシャリ一撃です。


 ゴンさんはラビの腹を引き裂き、ガツガツボリボリ貪り喰っています。

 さすが魔物、喰らいかた迫力有りまくり。


 血だらけの毛皮と角、ゴンさんの食べ残しもらいました。

 バッチイ感じ、でも無限収納優秀です、手も触れず思っただけで収納できました。


「カメノオカゲ、ハライッパイ」


「ゴンさん森を出るまで、一緒にウサギ狩りしませんか」

 護衛の代価はホーンラビットの肉、損得なしの話に、ゴンさん乗り気です。

 ゴンさんは護衛とは思わず狩る気充分、問題ないですよね。


 森を出るまでに3匹のラビに遭遇しました。

 ゴンさんラビを仕留めるの、上手になってます、LVアップしたのでしょう。


 3匹目吹っ飛ばされて瀕死のラビが転がって来ます、避けたつもりが踏んづけてしまいました。

「ううっ靴が、汚れて?あれ?汚れてない」

「ピコンLV2になりましたHP50MP50にアップです」


 ゴンさんは、バリバリ皮を剥ぎ角と合わせて私にわたします、肉も食いきれないと1匹私にくれました。

 全て収納します。


 何か別れ辛くなった私を残し、意外にあっさりゴンさんは森の奥に帰って行きました。

「ゴンさんと友達になれたと思ったけど、結局は魔物か・・・」


 大森林を出たようです、すでに辺りに木は殆ど無く、陽射しはキラキラ輝き、おじいさんを祝福するように、爽やかな風が優しく老人を撫ぜて行きました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る