異世界だよ頑張れじいちゃん

犬時保志

第1話 プロローグ

真っ白空間、目の前には仙人のような風貌の老人......。

「もしかして神様ですか」

「あんだって?」

「か.み.さ.ま.で.す.か!」

「とんでもねぇ、わしゃ神様じゃ」

「......神様ここは何処ですか」

「あんだって?」

「こ、こ、は、ど、こ、で、す、か?」

「しつこいぞ!わしゃ神様じゃ」

「......ふう......ハゲのボケ神」

「だれがハゲでボケじゃ!」

「悪口だけは聞こえてる」


私は鶴田亀福(つるたきふく)67才、ついさっきスーパーの駐車場で、自動車に引かれそうになっていた幼女を助け代わりに、ブレーキとアクセル踏み間違いの車に潰され死にました。

理不尽にも、いたってあっさりとです。

気が付くと真っ白なこの空間に居たわけです。


で、困っています会話が成り立たない!


しばらく無言で見つめあっています。


「わっ」

「おっ!何神様?」

「わっ!」

「おっ?」


「話す気になったか?」

「会話になって無いでしょう!」


「お前のせいで話しが進まぬ、黙って聞け!」

「............」

「お前の人生、数々の善行のわりに報われる事がなかったのう」

「そこでじゃ、お前を若返らせて不死身にして力を与え、楽しく冒険のできる世界に送ってやろう」

思わずイラナイと心のなかで叫んでいました。

「何がイラナイのじゃ?」

さすがボケでも神様心が読めるのか。

「誰がボケじゃ!」


「一度の人生だから頑張れる、私はそれなりに満足してます」

「普通に天国へ先に亡くなった妻と娘の所へ行かせて下さい」


「......そうか楽しく冒険がしたいか」


こいつ全然人の話し聞いてない

もお、いい、じゃ望み聞いてくれるなら、そうだ!チャットな能力ください。

チャットとな?叶えてやるが......変な奴じゃな

「良かった肝心な所が通じた」


「そう言うわけじゃ」

「え!?どういうこと?何が?」

「でわ送るぞ」

「いやいや、全然何もしてないでしょ......ああまってー」


一瞬意識がとび、気が付くと森のなかに突っ立っていました。

ふう、マっ良いか。

気を抜いて深呼吸、懐かしい、そう子供の頃の記憶、森独特の臭いに包まれています。


えーとこう言うときどうすれば良いか。

思い出せ、古本市場で立ち読みした......。

そうそう!

「ステイ.オープン」

ふう上手く行かない能力見れるはずなんだが......。


(アハハ私の所へお泊まりしたいの)

「誰?」

(私はこの世界ワトの女神、私の所へホームステイしたいの?)

(まさかステイタスの言い間違い?)

「ステイタス......そうとも言うかも」

(うふふっ全然違うわよ)

私は恥ずかしくて赤面しました、横文字に非常に弱い。


ステイタス.オープン

教えてもらった通り言ってみます。


LV 1 HP 10  MP 10

地球神の加護   不老  チャット


一目で解るサンプル過ぎる表示だな

(シンプルよ)女神の突っ込みに気付かず


「何々......弱そう」

あのボケ神不死を忘れてる......あっチャットな能力忘れず付いてる、良かった。


(ねえちょっといい)

「何ですかワトの女神様」

(話し辛いからワトで良いわよ)

「はい!ワトさん」

(あなた凄くチャットに拘ってるけど、どうして?私はお話しできて楽しいけど)

「へ?チャットと言えば反則的な力で、オレ強えーになる......ラノベで一杯出てる」

(アハハハっ、うふふふっ、あーお腹いたい笑い過ぎ。さすがあの神様の地球出身だね)

(それを言うならチートでしょ)

「......そうとも言うかも......」

(ぜ、ん、ぜ、ん、違うわよ)

(あはあはあはあは、うふうふうふうふ、くっくっくっくっくっ、んもう笑い死にさせる気)

しばらく女神の笑い声が頭に響いていました。


(久しぶりこんなに笑ったの)

(楽しませてもらったお礼、私の加護を授けるわ)

今のままじゃ弱すぎ、森を出る事も出来そうにない......チョイチョイと......出来た!

残念、地球神の設定くつがえす事出来ない。


(ステイタス見て!)


ステイタス.オープン


LV 1  HP 10  MP 10

地球神の加護   不老   チャット

ワト神の加護   身代り  完全読み書き会話

アイテム     無限収納


(加護は地球神の設定2個以上ダメみたい、かわりに便利アイテム付けといたわ。)

(強い敵が現れたら日本語で「みがわり」と、唱えなさい。相手と能力が代わり、簡単に倒せるわ。)

(MP1消費で3分 MP有る限り何度でも繰り返し使えるよ、そうそう!身代り切れる3秒まえからピコピコ音サービスね)

それじゃ頑張って、おじいちゃん、またお話ししましょ


......!おじいちゃん?あのボケ神若返りも忘れてる

じじいの体で不老......もう老いてる......よ!


地球神を責めるのは、ま、しょうがないですが、自分の事は気付かないもので、大真面目でチャットとチートを間違えて、この先おじいちゃんは大丈夫なのでしょうか。














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