“現実”とはなにか? “幸せ”とはなにか?
生きていればかならず突き当たる、人であるがゆえの、“自分自身”を取り巻くものへの疑問。
それに対してひとつの見解を示す。それが著者さんがチャレンジされてることです。
哲学絡むと論も小難しくなりがちですが、そのへんをいかに専門用語やニュアンスへ逃げ込まずに表わすかが著者さんのテーマ。
ですから、多くの人が想像しやすい内容になってるのは最大の特徴ですね。
自分が認識している“わたし”とは、ほかの人を通して積み上げた経験則や社会常識を張り重ねたハリボテだ――とか、空気を読んで生きている普通の人なら「まあそうだよなぁ」と思うじゃないですか。
そういう気づきみたいなものを、なんだかやわらかい言葉で明確化してくれる感じなんですよね。
毎日の中でちょっと迷ったり悩んだりしてるときに読んでみるとあれこれ発見できたりする、そんなエッセイです。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=髙橋 剛)