簡易版 第3話 すべては起こり
1-2** 意識を変える
すべては起こり
ただ起こり、意味は無い
意味をつけるのは、わたし
すべては起こり――
お茶をこぼす が起こり、
拭くという行動が起こる。
お茶をこぼしたことに対して、
何かを考えたり――、
たとえば、
ついてない、と考えるとか、
どんくさい奴と否定するとか、
お茶をこぼしたことも起こりなら、
その考えも起こりだ。
拭くという行為も起こり。
ついてないということについて、グルグルと回り始める思考も起こり。
そうやって、
起こっていることに意識を向けて、
そしてそれを
ただ眺める。
決して、つかみ取らない、=意味を持たせないことだ。
でも、
勝手に浮かんでくる『思考』をどうすればいいの? でしょう。
頭には、いつも
いろんな『思いや考えや感情』が浮かんできて、
考えたくないと思っていても、
つい考えていたり、いや~な思いも次々と押し寄せて、
去っていかないのだから。
その、いつも浮かんでくるいろんな『思いや考えや感情』も
起こりだと知ることです。
そういうときこそ、意識して、
考えが起こってきているところを観ることです。
考えが起こってきているなあと意識すると、
考えている内容と「わたし」の間が分離していきます。
思考と自分が分離されはじめる。
こんなことを考えている、
こんなフィーリングを感じている。
不快な感情は、あなたに起こっているのであって、
あなたが不快になっているのではないと、
それらを客観視するきっかけになります。
現実はただ起こっていて、意味はなく、
フラットだということを
思い出せる一瞬になるのです。
禅では、座禅によって自分の頭の中の声=思考が、
どのように現れては消えていくのかを内観する。
ただ、観ることをします。
現れては消えていくものは「わたし」ではなく、
わたしの中をただ流れていくものだと、観ていきます。
現実を体験した時に、
湧き上がる様々な『思考や感情』も、わたしではありません。
それらを、わたしのものだ、と宣言したときに、
わたしと同化する。
(同化=わたしがこう感じる、わたしがこう考える、
わたしが持っている、わたしが体験していると認識すること)
すべては起こりという考えは、
何を体験し、何を思い、何を考えて、どう感じようと、
それはたった今起こっているだけで、
やがては消えていくことを教えてくれます。
現実はただ起こるフラットなものです。
悟りは、現実をただただ自分の事とせずに
見送るだけでいいと教えてくれるのです。
何もしないということではありません。
現実や体験や問題に向き合ったとき、
それらに対して最適な行動が起こるに任せる、ということです。
最適な行動は、起こります。
うんうん唸って考えたり、悩んで困ったり、
それも起こりなので、観て流すだけなのですが、
観て流していると、
最適な行動がその中から起こってくるのがわかります。
どうすればそうなれるか?
最終的には「100%自分自身で在ること」――
100%わたし自身で在ることとは、
わたしがわたしを自然に100%表現できることです。
誰かを快適にする前に、「わたし」が第一です。
わたしが快適でなければ誰も快適ではないと知ることです。
とても自分勝手でわがままなことを言っているように聞こえるかもしれません。
(そう聞こえた人は要注意です)
わたしたちは、
自分より人を優先させることで、
優しさや思いやりを教えられてきました。
わたしたちの思考は、
そんなんじゃ(わたし第一)ダメだろう、と言うでしょう。
世のため人のため、我慢しなさい。
そうすることで人の信頼を得られ、
褒められ、
好かれ、
賞賛を得られるのですから。
多くの人は、そう教えられてきたのではないでしょうか。
けれど、その教えを実践したために、
わたしたちは自分を失い、自信をなくし、
自分の心の声が聞こえなくなってしまったのだということに、
そろそろ気付く頃です。
そういう事実を、もっと心に刻むことです。
これは、人にやさしくしたり譲ったりしてはいけない、
と言っているのではありません。
自分が快適100%で在ることが、
人への無償の優しさにつながるということなのです。
たいせつなことは、
自分の本音をたいせつにすること、自分の本音に嘘を吐かない、ことです。
思考がどれほど本音に嘘を吐かせているか、誰もが気付くことができるでしょう。
しっかりと思考を見つめて、思考の巧妙な嘘に気付いていくことがたいせつです。
外に向かって表現するしないは、別として、自分の本音を大切にすることです。
自分の本音をたいせつにしている人は、他人の本音も大切にできるし、
自分の本音に嘘を吐かない人は、他人の本音にも嘘をつかせない人です
了
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