第2話 わたしとは何か ②


3. ハリボテの見る現実とは


さて、

ハリボテは、貼られたものによって固有のフィーリングを醸し出す。

単純に分けると、

「胸が縮こまる感じ」と、「胸が広がる感じ」だ。


わたしたちは、ハリボテが醸し出すフィーリング、

「胸が縮こまる感じ」か「胸が広がる感じ」を、現実で体験することになる。

拒否や拒絶、制止、否定、無力感などが醸し出す、胸が縮こまる感じ、

許可や受容、許し、容認、信頼などが醸し出す、胸が広がる感じ、


例えば

『頑張って作った計画書が採用されない』

ということが起こったとしよう。


そのときの現実の流れを追ってみると、


なんで? どうしてあれがダメなんだ? 

しっかり目を通してくれたのか? 

どこかミスでもあったのか? 

どこが悪いか教えてくれたら直すのに。

あんなに頑張ったのに。どうして――。


そして、がっくりと肩を落とし_| ̄|○


「ちくしょ~、やってらんね~」

「悔しい!」

「情けない!」

「やっぱり自分って能力ないんだ(無力感)」


などと思い、考えるだろう。

それはきっと「胸が縮こまる感じ」だ。


あなたは、

『計画書が採用されないという現実によって、

自分は「胸が縮こまる感じ」を感じている』

今まではそう考えてきたかもしれない。


でも、あなたは間違いなく、

頭の中の声からつかんで貼り付けた、ハリボテが醸し出すフィーリングによって、


ただの計画書が採用されないという、フラットな現実を、


「胸が縮こまる感じ」として体験してしまっただけなのだ。



無力な自分、情けない自分、能力のない自分、無力感という、

レッテルやラベルなどが貼られているハリボテの目で現実を見たから、

感じたということだ。




4. 現実を観ることでわかること、できること


ただ、計画書が採用されないという現実。

そこで体験されるフィーリングは、

ハリボテの醸し出すフィーリングが映し出された現実だ。 


現実を前に、感じているフィーリングに気付くことで、

自分がどんなハリボテになっているか、

ハリボテが、頭の中の声の、何に強く意識を向けてつかんで貼り付けられたのか、

次第に分かっていく。


あなたは、いつもそのフィーリングを、

そこはかとなく感じながら生きていたことを、思い出すかもしれない。

感じてみよう。


何度となく、似た感覚を現実で経験し続けてきてはいないか、問いかけてみよう。



さて、ハリボテになったわたしたちの思考によって、

ただの現実が、「胸が縮こまる感じ」の現実になっているらしい。

それを知らずにいる間は、


起こった現実に、また、ハリボテになったあなた、で、反応することになる。

それを癖と言う。思考の癖、ハリボテ的思考だ。


わたしたちは、生まれてこの方、

癖でハリボテになり、ハリボテの癖に従って生きてきた。

なぜ悩みある現実が続くのかというと、

それは悩みある現実をつかんで貼り付けた(癖)のままで対処しようとするからだ。


今の「ハリボテのあなた」の思考のループを終了させることは、

今のハリボテのあなたにはできない。


今できることがあるとしたら、

◆ ハリボテだと知ること

◆ ハリボテを観ること

  ・ ハリボテのわたしを、客観的に観る 

    どんな頭の中の声をつかんでいるか 自分が何を考えているか意識する。

  ・ ハリボテのわたしを、充分に感じる

    頭の中の声に感じていることを感じ切る。 距離を置いて観る。

◆ ハリボテで反応していると気付くこと

◆ ハリボテを脱ぐために、この現実が見せてくれ、感じさせてくれ、

教えてくれているのだと知ること、

などだ。



客観的にハリボテのわたしを観ているとき、

そこにハリボテのわたしは居ない


客観的にハリボテのフィーリングを感じているとき、

そこにハリボテのわたしは居ない。


その感じを、頭ではなく、感じてみよう。


それを徹底的に続けるだけでも、ほんとうに現実はグッと生き易くなる。







つづく






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