俺のスペック
「キド様は、この世界に再び魔王が現れたことをご存知ですか?」
「いや、ご存知ではありませんが?」
「以前よりも更に力を増し、再び世界を暗黒に陥れようとしているのです」
「この世界の守備力どうなってんだよ!」
「新たな魔王の名を、『
中二病か!
「その『覚醒覇魔王』または『インフィニティデッドキング』に対抗すべく、各地から勇者を募ったのですが......」
「ですが?」
「候補者の出した条件が、その、私とけ、結婚をすることでして」
バカなの?勇者バカなの?女子アナと結婚したくてサッカー選手を目指すやつと脳ミソ同レベルなの?
「もちろん私は、勇者候補のどの方も好きにはなれそうにありませんでした。そのことを父に話すと、さすがに、父も姉の件で反省し、改善をして......」
「全員断ったんだな?」
「いえ、勇者に旅立たせる前に、私に、結婚してもいい者を一人選べと。そしてその者に魔王討伐の任を与え、成功したなら、その褒美として私を嫁がせると」
「いやいやいやいやいや、誰も好きじゃないって言ってるんだから、選びようがないだろ!」
「私もそう言いました。ですが父は、条件を拒絶すると、誰も名乗りを挙げなくなるからと」
「はぁ?」
そんなの、娘を売るようなものじゃないか。それでも親か!
「粘り通して来ましたが、皆ももう我慢の限界です。どうしようかと迷っていましたが、先ほど、その一人を決めました」
「え?それって......」
「はい、あなたです!」
「いやなんで⁉」
「一目惚れと言いましたよね?私は、キド様となら結婚しても構いません。というかむしろ結婚したいです!」
「いや、俺は一目惚れされるような人間じゃないと思うのだが⁉」
しかもこんな美少女お姫様に!
「いえ、あなたはとても素敵です」
「なんで言い切れるんだよ、俺たち初対面だよね?」
俺は身長が高いわけでも、イケメンなわけでもない。おまけに、彼女のベッドに潜り込んでいるところを見つかるという最悪の出逢いかただ。
今は好きと言われて嬉しいより、なんで俺?という疑いの気持ちの方が大きかった。
「私の右目は、その人のオーラを視ることができます」
中二病かよ。
「あなたのオーラは、大きいわけでも、きれいな色をしているわけでもありませんでした。むしろ、小さくて地味でした」
誉めてないよね?
「でも、どこか懐かしいような、幸せな気持ちにしてくれる、そんな温かさを感じました」
?
「こんなオーラを視たのは初めてで、あぁ、この人はきっと、周りの人間を幸せにしてくれる。この温かさで包んでくれる。そう思ったんです」
「俺が?」
「はい。オーラで全てを判断したいとは思いませんし、ただの気の迷いなのかもしれません。くだらない戯言ととってくれても構いません」
気付けば俺は、このユリエルから目をそらせなくなっていた。
「キド様、どうか」
「私の勇者様になってください」
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